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今回は小林毅さん著『朱子学と陽明学』を読んだ感想をまとめます。
最近明治維新の歴史を学ぶ中で、吉田松陰や大塩平八郎が陽明学を学んでいたことを知りました。そこで私も陽明学を知ろうと本書を手に取りました。
朱子学や陽明学の復習としてぜひご覧ください!
朱子学とは?
朱子学とは南宋時代の思想家である朱熹が作った儒教の中の一つの思想です。
時代としては12世紀後半ごろとなり、日本では鎌倉幕府が誕生する時代でした。
思想の特徴として「理気説」と「性即理」という考えがあります。
「理気説」とは、世の中のことは「理」と「気」の2つで構成されており、「気」は火・土・木・水・金の5行を指し、「気」が凝縮することで物体が生まれ、発散することで死となります。一方「理」は気の変化の根拠を指す、万物の規則のようなものです。
「性即理」とは、人間の性は元々は天理であり、間違ったことはしないものという考えです。しかし、様々な気によって、本来の性のままに行動ができなくなっています。それを排するため、静坐をしたり、読書・学問を収めることが大切と説いています。
陽明学とは?
陽明学は明時代の思想家である王陽明が作った儒教の中の1つの思想です。
時代としては15世紀後半ごろ、日本の応仁の乱が終わったころの時代でした。
思想の特徴は「心即理」「知行合一」という考えがあります。
「心即理」とは、朱子学が心をさらに性と情にわけ、性のみが理と考えたことに対し、陽明学では心そのものが理であると捉えました。朱子学においては、理とは自分やそれ以外の自然にも存在するものでした。朱子学を学んでいた王陽明は、竹の理を知ろうとするも、どうやっても知る方法がわからず、朱子学に反発しました。
「知行合一」とは、理論ばかり積み上げ形骸化していた朱子学に対し、知ることと行動することは同時に起きることであり、善であることを知っても行動に移さない場合、それは理解していないという思想です。
類似点と相違点
類似点はお互いにベースは儒教であり、『論語』『孟子』『大学』『中庸』などの解釈から派生している点です。お互いに孟子の説いた性善説からは離れていません。
相違点は形而上学的な理気説を主張する朱子学に対し、陽明学は実践を重んじます。朱子学は中国の科挙の試験内容になっていたため、知識としての有用性が表に出されていました。その体制保護の意味合いではなく、善を行うことを志向する派閥として陽明学が誕生しました。
感想
江戸時代に徳川綱吉が朱子学の学問所を設置して普及しましたが、やはり行動派の陽明学を学んだ人のほうが派手な歴史事件が多いなと思いました。
大塩平八郎は困窮する民を助けるため、大塩平八郎の乱をおこし、吉田松陰は過激な行動を幕府に行い死刑。また三島由紀夫も陽明学を学んでいたようです。
このように書くと陽明学がいかにも過激で怪しい考えのように見えてしまいますが(笑)、自分は知って行動できないことが多いため、さらにほかの本も読んで陽明学の良いところを取り込みたいと思いました。
また、日本人の道徳観念のルーツになっているであろう四書『論語』『孟子』『大学』『中庸』についても、実際に読んでみたいと思います。
朱子学と陽明学の説明が全然不足しており、貧弱なブログですが、もし興味がわいた方はぜひ調べてみてください!
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