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今回は岸見一郎さん・古賀史健さん著『嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え-』を読んだ感想をまとめます。
非常に人気の本で、Youtubeなどの要約チャンネルなどでなんとなくの内容は知っていました。しかし要約されていない物語においても非常に有用な教えがあり、買ってよかったと思える良い本でした。
今回は自分の中に特にとどめておきたい5つの教えに絞ってお伝えします。
ぜひご覧ください!
目次
『嫌われる勇気』とは?
本書『嫌われる勇気』は悩める青年と哲学者の対話方式の物語です。「世界はシンプルである」と主張する哲学者の元にコンプレックスを抱いた青年が出向き、哲学者と問答をする中で教えを理解していきます。古代ギリシアの哲学者ソクラテスが行った「問答法」に乗っ取った形です。
本書の中で私の心に残った5つの教えをお伝えします。
1.人生のタスク
皆さんは「人生におけるタスク(課題)」は何と捉えているでしょうか?
アドラーはひとりの個人が社会的な存在として生きていこうとするとき、直面せざるをえない対人関係のことを人生のタスクと定義します。そして具体的に下記3つのタスクをまとめて「人生におけるタスク」と呼びました。
- 「仕事のタスク」
- 「交友のタスク」
- 「愛のタスク」
私たちは日常生活を送るうえで、仕事の人間関係や、友人との関係、家族との関係は切っても切れないものになっています。「すべての悩みは対人関係」という考えにあるように、この避けられない人間関係を良好にすること、この中の人間関係で悩みを持たないようにすることが重要です。
またアドラー心理学では、人間の行動面と心理面のあり方の目標について次のように定義しています。
【行動面】
- 自立すること
- 社会と調和して暮らせること
【心理面】
- 「わたしには能力がある」という意識
- 「人々はわたしの仲間である」という意識
そして上記の目標(ありたい姿)を達成するために「人生におけるタスク」から逃げず、集中すべきであると説いています。しかしながら人間は様々な口実を設けて「人生のタスク」を回避しようとします。
例えば「あいつは出来が悪い」と決めつけることで、仕事上の対人関係をなくそうとしたり、なにかにかこつけてやることなすことが気に入らないと感じ、友人や家族との関係を絶とうとすることはないでしょうか。
アドラー心理学は原因論ではなく目的論のため、「対人関係をなくしたい」という目的があって、「嫌い」という感情が生まれてくると考えます。そのため、自分自身を見つめ直し、「人生のタスクから逃げていないか」を定期的に自問することが大切です。
2.すべての悩みは対人関係
アドラーは「すべての悩みは対人関係」と断言しています。個人だけで解決する内面の悩みなどは存在しません。
例えば劣等感。私も仕事などで成果が不十分だと「自分は情けないな、ほかの人ならもっとよい結果につながったのではないか」と感じることがあります。しかし仕事の結果自体が「あなたは劣等である」と突き付けてくるわけではありません。仕事の結果という客観的な事実に対し、私の「主観的な解釈」が入ることで自分の悩みが生じます。そしてコンプレックスを抱くような主観的な解釈には「他の人がやった場合にはもっとうまくいっていた」という他人の存在が不可欠です。
「主観的な解釈」は自分で選択が可能です。つまり仕事で成果が不十分だった場合も、それにコンプレックスを感じて業務やほかの人との関係を絶とうとするのではなく、「少しは前進することができた」と捉え直し、人生のタスクに向かっていくことが大切です。
3.課題の分離
アドラー心理学では、あらゆる対人関係のトラブルは他者の課題に土足で踏み込むことーあるいは自分の課題に土足で踏み込まれることーによって引き起こされます。
そのトラブルの種を取り除くために、「課題の分離」という考え方が重要です。
課題の分離とは、「これは誰の課題なのか?最終的に影響を引き受けるのはだれか?」という視点で、自分の課題と他者の課題とを分離していくことになります。例えば宿題をやらない子どもがいます。それに対し親は「宿題をやりなさい」と叱ります。子どもが勉強しないことの結果はあくまでも子どもに帰着するため、子どもの課題に親が介入している状態です。もちろん子どもに善悪の判断基準を設けさせるための指導や教育は必要です。しかし行動を強制するようなことは家族といえども他者の課題に介入しているといえます。その結果自分では解決できないモヤモヤを抱き、家族の対人関係が悪化することにつながります。
4.共同体感覚
アドラーは、「課題の分離」を人生のスタート、「共同体感覚」を人生のゴールとしました。
共同体感覚とは、「他者を仲間だと見なし、そこに自分の居場所があると感じられること」です。すべての悩みは対人関係にあるとしたアドラーですが、幸福もまた対人関係の中にあります。共同体感覚でいるためには自分自身の承認欲求を満たすのではなく、他者のためになる行動を意識する必要があります。
例えば「自分は素晴らしいことをした、社会のためになっている」と思っている人が他人から思ったよりもほめられなかった場合、「こんなんならやらなければよかった」とふてくされることがあるかと思います。しかしそれは行動の目的が「自分の承認欲求を満たす」ことであり、「他者の役に立つこと」が目的になってはいません。そして承認欲求を軸にすると、コントロールできない他者からの評価で自分の幸福度が決まる不自由な生き方になります。
人生の心理面の目標である「人々は私の仲間である」という意識をもつために、まず自分が他者に与え、それによって仲間意識が醸成されるものです。そして自らの主観によって「私は他者に貢献できている」と思えることで幸福感を得ることができます。
5.「いま、ここ」に生きる
他者との課題の分離を行い、自分の幸せの決定権を自分の主観に任せ、対人関係から逃げずに他者貢献を行う。これがアドラー心理学の教えです。ただ、頭で分かっていても実践することが難しいものですよね。
そこで哲学者は青年に対し、「いま、ここ」に集中して生きることが鍵となると伝えています。人生とは連続する刹那であり、我々は今しか生きることはできません。計画的な人生など、それが必要か不必要かという以前に不可能であると認識することが重要です。
過去や未来をぼんやりと思い浮かべて、いまをなんとなく生きる。そうやって過ごしていることはないでしょうか?私はよく「明日これをやろう」と思ったり、未来の計画を立てて満足感を得ることが多々あります。そうではなく、いま、ここを強烈に意識して刹那的に生きることこそ、幸福な人生につながるとアドラーは述べています。
感想
本の要約動画で紹介しきれていなかった部分にも新しい発見や再度気づかされる重要な教えが多く、買ってよかったと思える本でした!
また、内容としても対話方式で話が進み、具体例も理解しやすいものばかりです。早ければ2~3時間ほどで読めてしまう文量なので、ぜひ皆さんも本で内容をチェックしてみてください。
「すべての悩みは対人関係にある」という言葉は、盲信することはよくないことですが、自分のもやもやを晴らしてくれるような明快な答えでした。そして「他者からの承認欲求に左右されない」生き方においても、重要なことだと感じました。他人との比較は際限がありません。それによってあくせく生活し、自分の大切な人間関係にひびが入ってしまっては不幸な生活だと思います。あくまでも自分の主観で、世のため人のためになることに集中し、一所懸命に取り組んでいきたいと思います。
最後に余談ですが、「いま、ここ」に生きるという教えについては、高校時代にはまった松岡修造さんの応援メッセージにもあり、懐かしくなりました。笑
松岡修造さんの公式HPでも応援動画はまだ上げているようなので、興味のある方はぜひチェックしてみてください!笑 なかなかシュールで僕は好きです。
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最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
次回のブログでまたお会いしましょう。