今回は2020年4月13日発行分の日経ビジネス『コロナ・エフェクト』を読んだ感想をまとめます。
コロナウイルスによって、ロックダウンや外出を制限する世の中になり、生活や仕事環境が大きく変化しました。新たな社会の在り方はどうなっていくのでしょうか?
ぜひご覧ください!
目次
- PROLOGUE:医療業界での変革
- Part1:コロナによる6つの具体的変革
- COLUMN:テレワーク必勝法
- Part2:加速する「厳選消費」
- EPILOGUE:コロナが生むイノベーション
- 私の感想
- 最後に:日経ビジネス掲載 今週の本紹介
PROLOGUE:医療業界での変革
2018年に保険適用となったオンライン診療。
実態はほとんど普及しておらず、月1億件ある治療費請求の中でもオンライン診療は100件ほどしかありませんでした。
しかしコロナショックにより、2月ごろからオンライン診療のアプリへの新規登録者数が増加。4月からは厚生労働省が新型コロナウイルスの流行時に限り、初診でのオンライン診療を認める方針を示しました。
また服薬指導についても、2月28日から患者がビデオ通話などで薬剤師の指導をうければ、薬局に行かずに薬を受け取れるようになりました。その発表をうけて、オンライン診療アプリ開発の会社『MICIN』のメンバーが、通常なら1~2か月かかるアプリ開発を土日返上の2日間で行い、医療機関の処方箋をアプリ上で薬局にファックスできる機能を実装しました。
医療業界では新型コロナの流行により、移動を制限されたうえでの快適な社会作りが進み始めています。
Part1:コロナによる6つの具体的変革
コロナウイルスの影響により、テレワークやオンライン授業など、私たちの生活も影響を受け始めています。まだ変革の一歩目ではありますが、これから起こるであろう具体的変革を6つ紹介します。
①都市オフィス需要の減退
コロナウイルスの影響によって広がるテレワーク。
システム開発の会社「シックス・アパート」では2016年から30人の社員全員がテレワークを行っています。2011年の東日本大震災による電力不足をきっかけに週に1回テレワークを取り入れていました。しかし2016年に毎日テレワークをできるようにすると、社員のほぼ全員が毎日テレワークを選ぶようになりました。その結果、50席用意していたオフィスの席は10席まで絞り、事務所の光熱費は10分の1になりました。社員には定期券の代わりに月1万5000円のテレワーク手当を支給しています。
またテレワークを行う個人をターゲットにした不動産販売も登場しています。日鉄興和不動産が21年に完成させる、共用部をワークラウンジにした単身世帯向けのマンションです。テレワークが大手企業でも定着すれば、オフィス用不動産の需要は緩んでいくでしょう。
ほかにも出社が必須とされる製造業の工場においても、ロボットへの置き換え需要が高まると思われます。
②日本型雇用の消滅
テレワークの影響は働く場所だけではなく、働き方も変えていきます。
欧米では「職務記述書(ジョブディスクリプション)」に基づく仕事内容で採用活動を行っています。しかし日本企業は過程を評価する、取り組みや頑張りで評価する独自の人事制度の会社が多く存在します。
テレワークで部下の業務内容を評価するためには、各個人に求められる成果物や役席を明確化し、過程ではなく結果で判断しなくてはいけません。仕事上のやり取りも明確化されるため、『中間管理職』というポジションが多くは不要になると考えられます。
③鉄道会社の収益悪化
通勤・通学での利用客が減り、東京地下鉄では定期券利用客が20%ほど減少しました。関東私鉄大手の旅客運輸収入において、定期券による収入は3~4割に達します。また特急や新幹線のあるJRにおいても出張者の減少が考えられます。
鉄道各社は有料座席サービスなど新たな手を打たなければ、収益が悪化する可能性があるでしょう。
④教育現場でのIT化
学校の休校により、教育現場でもIT化の波が押し寄せてきました。
今までは日本はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中でも、学習におけるデジタル機器の利用率は最下位でした。そんな教育現場でしたが、コロナウイルスの影響によりZoomやiTunes Uなどのソフトを用いてオンライン授業を行っています。また期末試験についても、自宅で実施。大学受験のように教科書などの持ち込み可として、暗記型ではなく考える力をつけることに主眼を置いたテストを行った学校もでてきました。
⑤「秋入学」の実現
大学のグローバル化が遅れている一因として言われている4月入学制度。
世界の大学では9月入学が一般的です。東京大学が2012年に秋入学導入を検討しましたが、高校が4月入学が圧倒的であるため、13年には断念しました。
コロナで授業再開が遅れている中で秋入学を検討する大学もでてくるかもしれませんが、もう一つの選択肢があります。それはいつでも入学可能なオンライン授業による学校です。すでにアメリカではMOOCsという無料のオンライン講座が浸透し、ハーバード大学やスタンフォード大学などが講座を提供しています。
⑥グローバル化の加速
採用においてもコロナウイルスの影響があります。
3月や4月から説明会や面談を予定していた企業がほとんどでしたが、予定通りの開催はできなくなりました。そんな中、採用面接もオンラインで行うところが増えています。プリマハムは2時面接までオンラインで実施、カメラ・レンズメーカーのシグマも1次面接をオンtラインで実施することを決めました。
オンラインでの採用が進む中で、国籍や居住地を問わず、優秀な人材を世界中から集めることが可能になります。
コロナウイルスの流行によってオンライン世界のつながりがさらに強くなり、グローバル化が加速するかもしれません。
COLUMN:テレワーク必勝法
リコーでテレワークを行う中での課題をアンケートした結果、3つポイントが上がりました。
- コミュニケーションが取りづらい
- 自宅の環境では集中できない
- 紙の資料が手元にない
コミュニケーションについては、リコーではチャットアプリを常時起動するように全社員に指令をだし、連絡を取りやすい環境をつくりました。
また自宅の環境では集中できないことに対しては、椅子やデスク、モニターを貸与したりして会社と同じ環境に近づけることで対応している企業があります。紙の資料については、社内承認を後日でも可とし、システム決済だけ事前に行うことで対応できます。
在宅勤務でさぼる人がいるのでは?という意見については、会社にでててもさぼっている人は一定数いると割り切り、まずは自分の社員を信頼することが良策でしょう。
Part2:加速する「厳選消費」
コロナによって飲み会や外食する機会が減ることによって、本当に必要な消費とはなにかが厳選されてくるでしょう。
昨年末に流行った「忘年会スルー」といった会社での付き合いの飲み会が必要なのか考える人は増えていきます。また客足が遠のく外食産業でもなじみの常連客は引き続き来店してくれているところもあります。顧客との接点を大事にした企業とそうでない企業が、このコロナウイルスによって淘汰されていくでしょう。
また「店に行くこと」事態が特別なものになってきています。例えば4月に開業するトレイスという飲食店は、お店の内装や食器・料理などへのこだわりを事細かに伝え、共感してもらうことでクラウドファンディングを成功させました。消費すること自体が目的ではなく、お店に行き、その体験や時間を買う時代へのシフトも加速していきます。
つながり消費に力を入れる企業もあれば、逆に徹底的に非接触によるおもてなしを追求する企業もでてきました。マクドナルドや吉野家、スターバックスはアプリをつかってテイクアウトのモバイルオーダー制を高めています。またくら寿司では入店から退店まで非接触で完結するお店を浅草にオープンしました。
過剰で人手がかかりすぎたサービス自体が見直される時がきています。
EPILOGUE:コロナが生むイノベーション
ゴーグルをつけるとVR世界でその人のアバターがでてきて会議で発言する、NTTデータで開発中の会議システムです。ウェブ会議よりわかりやすいと評判で、複数の企業から問い合わせがきています。
また中国ではドローンをつかって外出中の人を注意喚起したり、QRコードにより住民の健康状態を把握する動きも広がっています。
立命館アジア太平洋大学の出口学長の著書『全世界史』では、かつて欧州でのペストの流行がルネサンスのきっかけのひとつになったと記されています。感染症による死への恐怖が、人生を謳歌することにつながり、人間らしさを積極的に表現するルネサンスにつながったという見立てです。
コロナウイルスが生んだ社会の変革はこの後どのような未来をつくるのでしょうか。
私の感想
エピローグに書かれている、「ペストがルネサンスにつながった」という文章が非常に心を打ちました。
外出自粛、出口の見えないコロナウイルスの拡大など、気が重くなるような情報が多い世の中です。その中でコロナウイルスの脅威が去った後は人生を肯定したくなるような明るい希望がある、そんな気持ちにさせてくれる文章でした。
私個人におけるコロナウイルスの影響とすると、会社のお取引様が稼働停止になったり、海外工場が止まったりといったもののみです。もちろんその間会社の売上はなくなる、あるいは減少するため大きな影響はあると思います。しかし、その痛みをじかに感じることができていません。そのような状況であることを会社には感謝していますが、痛みを持ってこの未曽有の危機から学ぶことのほうが重要だと感じます。その意味ではコロナウイルスによる世界的な活動停滞において、どのような経済的・人類的損失があるのか、株価、失業率、自殺者数、GDPなどの定量的なデータを追っていきます。
またPart1で言われているような変化は個人的には嬉しいことでした。毎日テレワークではたしかに孤独感を感じるかもしれませんが、週に2~3度であれば逆にメリハリがつくと思います。自分で考え、自分で改善し、関係部門に確認し、また自分で考える、そのプロセスを回すためには個人的にはほかの雑念が入らないテレワークは好ましく感じました。そしてテレワークの普及により職務基準書や目標管理などの仕組みがうまく回り始めることを期待しています。
明日から初在宅勤務のため、やってみたら「全然できない!」という感想になるかもしれませんが、新しいことに挑戦することは心躍るなぁとおもった日々でした。笑
P.S. 4/15に目次だけの記事を間違ってアップしてしまいました!読んでいただいた方申し訳ございません、、、
最後に:日経ビジネス掲載 今週の本紹介
日経ビジネスで紹介されている話題の本を私の備忘録として載せます。
気になる本があれば、感想をブログにアップする予定です!
皆さんも気になる本がありましたら、ぜひコメント欄で教えて下さい。