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今回はドトールコーヒー創業者の鳥羽博道さん著『ドトールコーヒー「勝つか死ぬか」の創業記」を読んだ感想をまとめます。
60年代の不健康なイメージの喫茶店ではなく、健康的で誰でも気軽に利用できるドトールコーヒーを立ち上げた鳥羽さん。その人生と仕事の哲学は学ぶものが多くありました。
ぜひご覧ください!
目次:
ドトールコーヒーの歴史
鳥羽博道さんは1937年に埼玉県で生まれました。9歳の頃に母親をなくすと、東京芸大出身の父が作成した人形用の義眼を販売することで妹と弟を養っていきました。父親は芸術的才能はありましたが、商才はなく、博道さんが家計をやりくりしていました。
博道さんが高校生のころ、父親とその日の売上を数えていた際に口論に発展。本物の日本刀を抜く父から命からがら逃げ、叔父からお金をかりて16歳で東京に働きにでました。そしてレストランで料理の腕をみがき、2店目の飲食店でコーヒーと出会います。18歳になるとコーヒー豆の卸売会社に営業として就職。赤面対人恐怖症でくじけそうになるものの、セールストークではなく、お客様になることをなんでもやる営業スタイルで克服します。19歳で会社の喫茶店経営を任され、喫茶業界の意義を理解しました。20歳になるとブラジルで事業を行っている知人のオーナーから誘われ、単身ブラジルに渡りコーヒー豆栽培を手伝いました。3年後の帰国に伴い、世界を船で一周したことになり、世界のサイズ観を身をもって経験します。そして24歳で独立し、焙煎コーヒーの卸売会社を設立しました。立ち上げ当初は倒産の危機におびえながら毎日を暮らしていましたが、「勝つか死ぬか」の覚悟でやればよいと開き直ると、取引先も増え、事業が軌道に乗り始めました。
6年後卸売だけでは取引先次第で経営が不安定になるということから、喫茶店経営にも事業を広げます。喫茶店の理想の姿を考える中で悶々としていた鳥羽さん。そんな折ヨーロッパ視察ツアーの話が舞い込んできて、渡りに船と申し込みを行いました。その道中のフランスで人々が手軽にコーヒーを立ち飲みしている姿を目の当たりにし、喫茶店のあるべき姿をとらえることになりました。
当時の喫茶店は店内が薄暗く、怪しい雰囲気のお店が相場であった中、健康的でだれでも入れるお店をコンセプトにした喫茶店経営を実施。そのお客様第一の商売によって喫茶店経営も順調にいきました。
喫茶店経営を280店舗まで拡大していく中、転機が訪れます。原宿の一等地に喫茶店をだしたいというオーナーさんが現れました。世の中はオイルショックの打撃をうけ、人々の可処分所得が減少。嗜好品だったコーヒーを今こそ、フランスのようにだれでも手軽に飲める安価な立ち飲みスタイルで提供しようと発起しました。それが現在のドトールの1号店になります。
時代の流れに合わせて、事業内容を変化させていった鳥羽さん。お客様の望むスタイルを適切なタイミングで発展させることで、自分の理想を実現していきました。
鳥羽博道さんのひととなり
ドトールコーヒーの事業を成功させた鳥羽さんはどのような性格の持ち主だったのでしょうか。
鳥羽さん本人も周囲の人から石橋をたたいて渡る人、慎重な人という評を受けているようです。また本書で何度も登場し、強調している言葉の1つに「危機感」があります。
ドトール成功までの道においても、会社をつぶしてしまわないかという危機感や、コーヒー豆の卸だけを商売にしていてはいけないという危機感がありました。
鳥羽さんにとって危機感があるからこそ、次のビジネスの種を探し続けることができる。危機感によって、普通の人では流してしまうようなフランスの立ち飲みコーヒーの風景などに反応し、ビジネスにつなげることができました。
また、鳥羽さんは人間の行動原理になるものとして、危機感を含めた7つをまとめています。
- ハングリー精神
- 危機感、不安の克服
- 負けず嫌い
- 責任感
- 夢の実現
- 名誉欲(自慢欲)
- 使命感
この中で最も重要としていることが、危機感であり、危機感があるから、常に冷静に判断することができると語っています。
成功しやすい性格とは?
鳥羽さんは成功する性格として7つを挙げています。
- 負けず嫌い
- 正義感がある
- 人に喜んでもらうことが好き
- 厳しさと思いやりを兼ね備えている
- テーブルの上のことだけでなく、仕事のやり方、組織のあり方に至るまで整理整頓が上手
- 利害得失だけで物事を判断せず、何が正しいか判断できる人
- 根気強い人
負けず嫌いについては自分を常に成長させていこうとする力として不可欠です。つづいて正義感がある人は、同時に倫理観や責任感を伴っているため、良い仕事を収める傾向が強いです。人に喜んでもらうことが好きな人は、お客様のために自発的かつ継続的に改善ができる素質があります。次に自分を含めた人や行いに厳しいことが良い仕事につながることが多いですが、思いやりもなくては持続性がありません。整理整頓の能力は、仕事の要点を掴む能力に直結します。利害得失で判断してしまう人は、お客様のためにならない選択を選んでしまう可能性をはらんでいます。楽な道ではなく、正しい道を選ぶことが仕事において大切です。最後に根気強いことですが、成果はすぐにでるものではありません。道の途中で投げ出すのではなく、成果が出るまでやり続ける姿勢が必要不可欠です。
感想:
自分の仕事への取組みの甘さを再認識させられる、大変よい本でした。
忙しさにかまけて楽なほう楽なほうに流れていく。そんなことが多かったと反省します。鳥羽さんの座右の銘である「因果倶時」。明日の結果は今日の自分の行動によってのみ作られるという意味ですが、この言葉を意識するとだらだらと一日を過ごすわけにはいかないなと身の引き締まる思いです。
30歳になり、最近改めてどのような人生にするかを考えることが多くなりました。そのアプローチの一つとして経営者の自伝を読むことが増えています。皆さんに共通することは、小さな恥や外聞を棄てて、とにかく実行することだと再認識します。
30歳という年齢による適切な危機感を働かせ、悔いのない毎日を積み重ねようと思いました!