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今回は6月21日発行分日経ビジネス『ビットコイン狂騒曲』の感想をまとめます。
今年に入り、イーロン・マスク氏のツイートで乱高下したビットコイン。第二次ブームとなった現状で、ビットコインの現状や周辺技術の今後の展望を語ります。ぜひご覧ください!
目次:
Prologue:今年のビットコイン情勢
今年に入り、ビットコインは6万5000ドル近くまで到達しました。その火付け役はテスラCEOのイーロンマスク氏のTwitterです。
マスク氏のビットコイン関係のTwitterと値動きは下記のとおりです。
- 1/29 マスク氏のTwitterプロフィール欄に「#bitcoin」の記載⇒3万ドル前半だった価格が4万ドルに近づく
- 2/8 テスラが15億ドル相当のビットコインを購入していたことを開示
- 2/9 「現金に比べればましな流動性の形態」とツイート
- 3/24 「テスラ車をビットコインで買えるようになった」とツイート
- 4/1 「宇宙開発のスペースXはビットコインを月に置いてくるつもりだ」とツイート⇒ 4/14に今年最高値の6万5000ドル近くまで上昇
- 4/26 テスラが2.6億ドル相当のビットコインを売却していたことが判明
- 5/13 「ここ数か月の電力消費量は狂気(insame)だ」とツイート⇒5ドル近辺まで10%以上下落
- 6/4 「#bitcoin 💔(ハートが割れた絵文字)」とツイート
今回の乱高下によって、投資対象として堅実なポジションに向上しかけていたビットコインに2つの脆弱性が見えました。1つは影響力のある個人の発信で仮想通貨市場が大きく揺れること、2つ目はそれを取り締まる仕組みがないことです。
Part1:ビットコインの歩み
ビットコインの歴史について振り返ります。
2008年謎の論文から誕生
始まりは2008年、「サトシ・ナカモト」と名乗る人物が投稿した論文がビットコインを生み出しました。「A Peer-to-Peer Electronic Cash System」という論文で、情報を1か所ではなく分散して持ち合うことで、国家や銀行を介することなく個人間で送金できる仕組みを構築できるという発想でした。この基盤技術は「ブロックチェーン」と呼ばれ、ほかのテクノロジーにも応用されていきます。
特定の国に保証されていないため、『国家に頼らない通貨だ』と一部のアーリーアダプターたちに話題になっていましたが、13年には麻薬の闇取引に取り扱われていたところを摘発されるなど、市民権を得るには至っていませんでした。しかし14年にビットコインの取引所だったマウントゴックスにてビットコインの巨額流出が始まり、経営破綻。それをきっかけに多くの取引所が立ち上がりました。
2017年第1次ICOバブル
そんなビットコインのブームに火が付いたのが、17年のICOバブルです。
ICOとはイニシャル・コイン・オファリングの略で、IPO(新規株式公開)のビットコイン版です。企業がトークンと呼ばれるデジタル権利証を発行し、買い手を募ることで資金調達を行う手法が流行りました。それによりビットコインの価格は急上昇し、それがさらなる資金を呼ぶバブルにつながりました。
結果的にはICOはIPOの東京証券取引所のような審査機関がなく、実績がないまま利益をあおる企業ばかりだったため、ICOで資金調達した企業の約8割の事業計画書が詐欺的なものといわざるを得ない内容でした。加えてコインチェックでの580億円分の流出事件が発生し、第1次ブームは18年に去りました。
2020年第2次ブーム到来
相次ぐ流出事件を受けて、取引の規制厳格化が行われます。具体的には取引所は登録制となり、証拠金取引の上限も2倍までに制限しました。
また2020年にビットコインの発行量が半減する「半減期」が来ました。ビットコインは発行の上限が2100万枚と定められており、約4年ごとに発行量が半減します。半減期による価格上昇の相場が1年半ほど続くとされているため、そこを狙って購入に踏み切る人もいました。
そしてコロナ禍による金融緩和政策。それにより資金が市場にあふれたことによって再度ビットコインが投機対象として注目を浴びるようになりました。
しかし、「サトシ・ナカモト」氏が目指した送金手数料の安い新しい通貨としての面は実現されていません。少なくとも現段階ではマネーゲームの対象として注目を浴び、取引所も手数料ビジネスのため乱立する多くの仮想通貨を取り扱っています。
Part2:デジタル資産の勃興
ビットコインの発展は技術的に新たな基盤技術を成熟させました。それはブロックチェーン技術を基にしたデジタル資産の登場です。
NFT(非代替トークン)
ツイッター創業者の初ツイートが約3億円で売買されたというニュースを覚えている方もいらっしゃると思います。単なるツイート、つまり電子データにも関わらず高額で取引された裏に、NFT(非代替トークン)の仕組みがありました。
NFTとはデジタルコンテンツに対する証明書のようなものです。デジタルデータは複製も容易であり、どれが正当なものか証明する方法がありませんでした。そこでブロックチェーンの技術を使用し、デジタルコンテンツに正当性と希少性を与えることができるようになりました。
このNFTを使うことによって盛り上がりを見せそうな分野がゲーム市場です。ゲーム内で育てたキャラクターやアイテムをNFTで取引できるようになります。実際に「CryptoKitties」というゲームにて、ユーザーが所有する子猫のデータがNFTで取引されています。
DeFi(分散型金融)
21年に話題になっているのがDeFi(Decentralized Finance:分散型金融)と総称される金融サービスです。
DeFiとは銀行などが提供するサービスをブロックチェーン上で動くプログラムによって構築したものです。例えば貸付業務において、銀行員が借り手の返済能力を判断して融資を実行します。DeFiではその銀行員の判断フローをプログラムによって判断し、担保に応じて仮想通貨を貸し付けます。仮想通貨を預ける(貸す)人はプログラムで決まった分の利子を受け取ることができます。これによって銀行口座を持たない人でも金融サービスを受けることが可能になったり、金融機関の中間手数料が浮き、銀行よりも高い利子を受け取ることができることができます。
しかしDeFiを使った高利回りをうたう詐欺まがいの取引も存在しており、現時点では良い面だけではなくリスクも多くあります。
Part3:ブロックチェーンの応用
PART2では金融におけるブロックチェーン技術が応用されていました。PART3ではその他のシーンで利用されている例を紹介します。
原産国把握のためのブロックチェーン
SDGsやESG投資に世の中の潮流が向いている今、原産国の把握は大切な情報です。インドネシアのコーヒー豆製造において、オランウータンが住む森で作ったことを訴求点としている「オランウータンコーヒー」。コーヒー栽培のため、オランウータンの住処である森林が伐採されている中、動植物と共生した商品であるというストーリーを顧客に届けています。
ウイグルの綿花や児童労働が疑われる地域での鉱物など、「原産国リスク」による完成品メーカーの被害は増えていきます。取引の履歴がシステム管理できる上、改ざんも困難なブロックチェーンを活用することで、リスクに対応しています。
物流・資産運用での活用例
システムで情報を一元管理できるメリットは、物流業界や資産運用においても活用されています。
ウォルマートは運送業者とのやり取りの請求書や貨物の移動処理・管理といった情報をブロックチェーン上に集約しました。その結果ウォルマートと運送会社間での情報のずれが減り、人件費が20%以上削減できました。日本でもNTTデータや三菱商事など7社が共同出資したトレードワルツという企業が、貿易関連の書類ややり取りをブロックチェーンで一元管理するサービスを手掛けています。
資産運用の顧客管理においても、ブロックチェーン上で管理することで名義変更代理人や集中管理者などの人員を削減できます。積水ハウスは賃貸契約から公共サービスの申し込みを一括でできるような実証実験を実施しています。
Part2で説明したDeFiやNFTも併せて、ブロックチェーン技術の応用による新しいサービスの勃興期が今来ています。
感想
非常に面白い内容でした!
ビットコインについての過去の歴史と最新動向を整理できました。私も第一次と第二次ブームの時に少額持っていましたが、およそトントンぐらいのときにほかの株への軍資金として売却してしまいました。
「自分が理解できないものには投資をしない」というウォーレン・バフェット氏の言葉をモットーに動いたため、後悔はしていませんが、やはり逃した魚のことを考えてしまいます、、笑
マネーゲームとしての暗号通貨の面白さもさることながら、ブロックチェーン技術による新たなサービスが大変勉強になりました。ブロックチェーンによる利点として、「一元でデータとして管理できる」「中間管理者がいない」「人を介さず自動で動き続けることが可能」ということが理解できました。これからの社会では知らない間にブロックチェーンが前提となったサービスがさらにでてくるのだろうと思いました。
最後に:今週の本紹介
日経ビジネスで特集されている話題の本を紹介します。
気になる本があれば、感想をブログにアップする予定です!
皆さんも気になる本がありましたら、ぜひコメント欄で教えてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう。