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今回は2020年2月10日発行分の日経ビジネス『あなたを鍛える会社』の感想をまとめます。
本記事を読んで下記3点が分かります。
- 企業別人材確保のための施策
- 非大卒人材の勃興
- これからのビジネスマンに大切なマインド
ぜひご覧ください!
目次
Part1:重い腰上げた大企業
これまで口を開けているだけで優秀な人材が確保できた大企業。しかし近年では新卒採用の人気が下がり、優秀な人材を会社に引き留められなくなっている企業が多くあります。その中で変革に乗り出した大企業の事例を見てみましょう。
みずほフィナンシャルグループ
19年10月、みずほフィナンシャルグループは、メガバンクとして初めて、社員の兼業・副業を解禁することを決めました。取引先の個人情報などのセキュリティの問題はあるものの、みずほが改革に乗り出した理由は2点あります。
1点はメガバンクの中で3番手が定位置となってしまっている現状、2点目は会社と個人の関係性の変化です。2点目について補足すると、今までは会社が社員の生活や人生の大部分を支える存在でした。しかし終身雇用・年功序列の前提が崩れる中、個人のやりたいことを会社が与えられるかが重要なポイントになってきました。つまり社内でのみ有効なスキルを磨き、昇進をめざすより、社外でも使える汎用的なスキルを身に着けたほうが会社の枠にとらわれず活躍できるチャンスがあると思うようになりました。
みずほ内でも兼業・副業解禁への風当たりは強かったですが、「(副業解禁による)人材流出リスクと、優秀な人材がみずほの門をたたかなくなるリスク」を天秤にかけ、後者のリスクのほうが致命的になると考え、実行しました。
NEC
NECは優秀な社員の「起業」だけでなく、上場までを奨励することで、優秀な人材確保を狙っています。
NEC発のスタートアップ「dotData」。シリコンバレーに本社を置くAIスタートアップです。それを立ち上げた藤巻氏は元NECの社員。NEC内で事業化したいアイディアがあり、早期事業化を打診しました。しかしNEC内では承認段階が多く存在し、長ければ3年かかる可能性すらあります。そこでカーブアウトして事業化を目指すことを北瀬本部長と藤巻氏は思いつきました。
しかしながら会社内の優秀な人材とノウハウが外に出ることに多くの反対意見が出ました。そこでNECの独占販売権をつける条件付きで、社内を調整。またdotDataの例を特例としないため、社内の制度化を急ぎました。「優秀な人材獲得には挑戦できる環境を整えることが欠かせない」と北瀬本部長は発言しています。
TIS
社業には直接貢献しない社外での活動を人事評価の項目に加えることで、社員自身の能力開発を推奨する。そんな取り組みを行っているのが、システム開発大手のTISです。
半期に一回の評価面談において、通常業務以外の社外含めた活動実績を報告します。その制度を作った理由は、従来型の情報システム産業が抱える課題が背景にあります。従来顧客企業からの受託ビジネスで売り上げを上げており、既存のシステムの維持と回収がメイン業務です。そのため新しい知識を学びたい向上心のある人材が流出してしまう構造になっていました。それを防ぐため、会社の制度として自らの学びの場を意識的に持たせる制度を作りました。
ダイキン工業
AIやビッグデータ分析など最先端のスキルと経験を持つ人材をどう確保するか。世界中で獲得競争が起きているこうした人材を手当てするため、新たな取り組みを始めているのがダイキン工業です。
エアコンメーカーとして成長してきたダイキン工業は次世代の鍵となるIT人材は不足しています。そのため、教育制度を整えることで社員を鍛えることにしました。
18年度に開校した社員向けのダイキン情報技術大学では、技術系の新入社員のうち、100人には2年間仕事を与えず、ひたすらAIやIoTなどの最先端技術を教育します。また東大と取り組んでいるグローバルインターンシップという制度も異例です。10年で100億円の資金を投じて産学協創協定を締結。その枠組みで、東大の学生50人を対象に、ダイキンのグローバル拠点を回り、新たなビジネスモデルを考えてもらうインターンシップを始めています。
Part2:人が集まる先進企業
優秀な人材を輩出したり、うまくとどめることができている先進企業。その事例を見てみましょう。
サイバーエージェント
サイバーエージェント出身者の起業家は少なくありません。それはサイバーエージェントにて優れた枠組みがあるからです。1つは社員の才能を開花させる舞台として「あした会議」というものが存在します。これは2006年以来、続けている新規事業コンテストであり、会議の1か月ほど前に役員が若手社員4~5人を指名し、指名されたものたちで新規事業を提案するものです。この会議から生まれた27社でこれまで売上高2500億円、営業利益350億円を稼いでいます。
また、その会社の社長や取締役に20代の若手を抜擢することが多くあります。人事部を統括する曽山哲人取締役は「経営者はサッカー選手やフィギアスケート選手と同じ。若いうちに成功と失敗を経験する方が慣れる」と述べます。
メルカリ
各企業で引っ張りだこの「データアナリスト」。その優秀な人材がこぞって門をたたくのがフリマアプリサービスを行うメルカリです。
データアナリストがメルカリに集う理由は、事業の意思決定に参画し、課題解決につなげるところまでできる裁量の大きさにあります。ほかの企業においては事業部門の要求にこたえるのみの補助的な役になりがちですが、メルカリであれば、上流の意思決定から最終的なアクションまでのすべてを見られる経験ができます。優秀な人材に正しい裁量を与えることで優秀な人材を確保できている好例です。
オリックス
同じ会社内での転職を可能にして、人材の流出を抑えているのが、オリックスです。
「キャリアチャレンジ制度」と呼ばれるキャリア形成支援制度。異動を希望する部門の部長に直接アピールすることで、部門をまたいだ異動を可能にします。またそれだけでなく、オリックスには社内インターン制度が存在します。それは1週間自分が選んだ部署での仕事を体験できるものです。自分のキャリアのミスマッチを同じ会社内で修正できる制度を整えていることが強みとなります。
Part3:盛り上がる「非大卒」市場
現在大卒の就活市場以上に売り手市場になっている高卒就活市場。大卒よりも4年早く育成できる点と、素直で吸収力が高い面を評価されています。人材不足が喧伝される中、高卒においても製造業だけではなく、営業やエンジニアとして活躍することもできるようになりました。実際に非大卒人材をうまく育成し、労働市場に投入している2社の活動を紹介します。
ハッシャダイ
「ヤンキーインターン」というサービスを手掛けるベンチャー企業、ハッシャダイ。ヤンキーインターンとは、東京以外の地方に住む18~24歳の非大卒の若者を東京に呼び寄せ、営業研修を提供するサービスです。6か月間職・食・住を提供し、そのうえで即戦力として取引先の企業に送り込むことにしています。行先も中小だけではなく、サイバーエージェントやソフトバンク、エン・ジャパンなど名の知れた企業も存在します。またヤンキーだけではなく、大学を行く意義を見失った人なども中退し、ヤンキーインターンを経て、満足いく職に現在ついています。
3Backs
またドロップアウトした人材を引き上げる人材開発ベンチャーの、3Backs。ハッシャダイとコンセプトは似ていますが、ターゲットが異なります。学歴がなくて希望の職に就けない、職歴がないため採用面接に臨んでもうまくいかない。そのような現状に満足しておらず「変わりたい」と願う29歳以下の若者がターゲットです。リクルート方法もTwitterでターゲットの若者を見つけ、アプローチ。そして3Backsに採用されると、社員寮に入り、そこで公共サービスの営業を研修として2年間行います。そのきつい仕事を2年間続けることで自信をつけ、研修を卒業すると3Backsのあっせんで一般企業の営業職として正規雇用されるケースが多くなっています。
厳しい指導に対し、コンプライアンス違反などの風が吹く中、やる気のある非大卒人材を磨くビジネスモデルが脚光を浴びています。
Part4:自分を鍛えるのは自分自身
動画配信市場を切り開いた米ネットフリックス。同社の「カルチャーガイド」はフェイスブックのシェリル・サンドバーグCOOが「シリコンバレーから生まれた最高の文書の一つ。」と称えたものです。その中の「自由と責任」という項目はただ一つ「会社にとって最善の行動を取る(act in Netflix's best interest)」。また最高のチームを作るという「ドリームチーム」も、同社が重視する価値観として知られています。それはマネジャーは自分より優秀な人材を採用すること。このような広い権限と優秀な人材の確保の仕組みが、企業文化としてしみついています。
日本型の雇用は人材の流動性が乏しいです。しかし、終身雇用の崩壊が叫ばれる中、Netflixのような流動性の高い組織へと全体で動きがかかるでしょう。
その際に働き手がキャリアとスキルを磨くために転職を繰り返す人材流動化時代がやってきます。その時に自分自身を高めることができる人と、変化に対応できずゆでガエルとなる人材。その格差が開いていくことになるでしょう。成長と活躍の場を求める個人の能力や創造性を刺激し、正当に評価する会社には人材が集まり、それに見合う個人には選択肢が広がる。企業と働く個人との関係は変わり始めています。
私の感想
めちゃめちゃ面白い記事でした!!というか自分が就活する前に読みたかった内容です。笑
各企業の具体的取り組みや、社会の変化に適用しようとする大企業の姿をみて、応援したくなりました。そして私が就活生だったらサイバーエージェントを受けたいと思いました!(単純)
今の自分の会社はまだ変化に対応できていません。以前会社の人と雑談をしている際中に、「辞めてしまう人はそれまでだ」と言っていて、非常に悲しくなったのを覚えています。この発言の背景に大企業病に侵されている匂いを感じましたし、自分のいる田舎企業は都会よりもさらに先進的で尖ったことをしないと優秀な人材なんて確保できません。Part4でもあったように自分自身を磨き続けることは忘れずに、今の会社で自分の影響の範囲で優秀な人が働き続けてくれる環境を作りたいと思いました。
またオリックスの企業事例において、私の会社でも社内転職制度と同等のものはあります。しかし、人材不足の今の状況においては少し形骸化してしまっている制度と思っていました。その時に1週間の社内インターンは魅力的に感じました。もちろん受け入れ側や出す側の労力を考えるとなかなか変えることができません。しかし、中長期的な成長において、人材が最も重要であると経営者が理解するならば、私はやってみていい制度だと思いました。
Netflixのカルチャーガイドと人材の流動性はさすがとしか言いようがありません。これほどぶっ飛んだといいますか、エッセンシャル思考な規則こそ見習うべきだと思います。日本企業の悲観的な部分のみ最近見えてしまいます。しかし私は日本人は元来勉強熱心で優秀な人が多いと思っています。今一度最先端の企業や諸外国から学び、取り入れ、改善することで、日本経済が再び盛り上がりを見せてほしいと強く思わせる記事でした。
最後に:日経ビジネス 今週の本紹介
日経ビジネスで紹介されている話題の本を私の備忘録として載せます。
気になる本があれば、感想をブログにアップする予定です!
皆さんも気になる本がありましたら、ぜひコメント欄で教えてください。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。