27歳からのどっこいしょブログ

会社員。ブログ歴3年目。現在30歳。国際結婚。長野県。読書感想や思ったことを記録していきます。

【読書感想】『里山を創生する「デザイン的思考」』を読んで

今回は岩佐十良さん著『里山を創生する「デザイン的思考」』を読んだ感想をまとめます。

 ■要旨:

新潟の南魚沼市にある古民家をリノベーションし、「里山十帖」という人気宿に発展させた著者。その過程をつづり、データではなく、自分で多重人格的に検証を行い、そのうえでゴールを決める『デザイン的思考』を学ぶことができる良書。

 

■感想:

著者である岩佐十良さんは雑誌「自遊人」の編集者であり、文体の読みやすさ、構成のわかりやすさが際立っており、自然に理解することができる本でした。

デザイン的思考の中で印象に残っている点は、自分の頭を使い多角的な視点で物事を見ることの重要さとその方法の独自さでした。岩佐さんは自分の編集者の経験から演繹し、どういう人がどういう感情になるか、どう思うかを自分で考えながら、進めていったと書いてあります。それができるのは様々な人と価値観にあってきた著者だからこそできることかもしれませんが、自分が正しいと思っていてもできるだけ多くの立場、目線でもう一度見てみることが大事であるとわかりました。

ただし、そこから岩佐さんはターゲットを絞り、どのようにしたら共感を呼ぶか、逆に自分の表現したコンセプトにそぐわない人にまで情報が届かないようにするにはどうすればよいかを考えていました。普通大勢のお客様に知ってもらい、稼働率を上げることが良い経営だと思います。しかし、岩佐さんは「里山十帖」というホテルを使って、新たなライフスタイルや価値観の気づきの場を提供するという理念を伝えることに的を絞ります。それによって、旅のための副次的な「宿」から、体験を提供する主体としての「宿」として提供しています。徹底的に共感を得られるゴールを決め、そのゴールから外れるものは排除していく(ぶれない)進め方に魅力を感じました。

データではなく、自分の目で多角的に見ながら、ニーズやウォントをとらえ、仮説を繰り返すデザイン的思考は新しいビジネスを考えるうえで使えるツールだと思えることができました。