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今回は『貞観政要』の感想をまとめます。唐の2代目皇帝太宗の「貞観の治」がどのような心掛けでできたのかが分かります。また太宗と臣下のやりとりを通じて、リーダーのあるべき姿、それを支える部下のあるべき姿をインプットすることができました。
ぜひご覧ください!
目次:
貞観政要とは?
「貞観政要」とは中国の唐代に呉兢が編纂した太宗の言行録です。貞観とは太宗の時代の年号で、太宗在位時代の20数年は犯罪や死刑者も少なく、善く統治されていたため、「貞観の治」と称されるようになりました。中国や日本においても、帝王学の古典として、「書経」と並んで学ばれることが多く、徳川家康や明治天皇もお読みになられたようです。
有名なエピソードとして「創業と守成」についてのやりとりがあります。太宗が臣下に「創業と守成のどちらが困難か」と質問します。ある臣下は「群雄割拠して荒れた場所からスタートする創業のほうが難しい」と答え、ある臣下は「創業した後に自分を律して欲望にまみれない政治をおこなう守成のほうが難しい」と答えます。それを聞いて太宗は両者の意見を理解しながら、現在の課題である守成の困難に立ち向かっていこうと話をまとめました。
このように、太宗と臣下の会話でのエピソードを通じて、リーダーや部下のあるべき姿が分かる1冊です。
本の概要
貞観政要自体は全10巻40篇からなりますが、本書はそのなかから抜粋したエピソードを、下記10テーマに分けてまとめています。
- 治世の要諦
- 諫言の機微
- 人材の登用
- 後継者の育成
- 名君の条件
- 帝王の陥穽
- 学問の効用
- 刑罰の論理
- 用兵の限界
- 守成の心得
それぞれにエピソードが6~10個ほど入っています。どれも短い内容でまとまっているため、隙間時間にも読むことができました。次章で心に残った教訓を紹介します。
「木、縄に従えば正し」
太宗が側近の者に対し、「どんな名君でも姦臣を用いれば国が乱れるし、どんな名臣であろうと暗君に仕えれば、良い政治は行えない。君主と臣下は水と魚のような関係のため、私の悪いところはどんどん諫めてください」といいました。それに対し諫議大夫の王珪が答えました。「『どんなに曲がりくねった木でも、縄墨に従って製材すればまっすぐな材木が取れる。それと同じように、君主も家臣の諫言を聞き入れれば立派な君主になることができる』、私はこう聞いています。陛下が広い心で聞き入れてくださっているので、私も命がけで諫言を行っていきます。」
このエピソードから、他人のフィードバックを恐れることなく頼っていくことがよいことだと考えられるようになりました。最初からまっすぐな木はほとんどありません。私自身欲望に負けて曲がりくねった木であると思います。そんな中他人の意見を幅広く受け入れ、適切に修正していけばよい結果につながるということは、希望につながりました。成長のためには正しい現状把握と、不断の改善が大切だと噛みしめることができました。
感想
中国には諫言をするための職務があったということが興味深かったです。大きな権力をもつ者がうまく世の中を抑えるための仕組みだと思います。現在の政治においては三権分立や与党と野党など、権力を分散させ、チェックする仕組みがあります。(うまく機能しているかは別問題ですが、、)しかし会社となると、チェック機能が働きづらくなっている場合もあると感じました。
自分が上に立つ場合は、太宗のように、柔和な雰囲気で多くの人の意見を聞き、自らの行動を律したいです。また、部下としての立場の場合、もっとこうすればよくなるのではないかという意見を伝えることも自分の責務であると自覚し、発信していきたいと思います。
また本筋とは少しずれますが、唐代に皇帝の言動を良い面悪い面含めて記録していく職務があるエピソードがありました。悪い面も記すことは皇帝の意にそぐわないこともあり、まさに命がけの職務です。しかし、毅然とした態度で自らの職務を遂行する職業倫理の高さに胸が打たれました。
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また次回のブログでお会いしましょう。