27歳からのどっこいしょブログ

会社員。ブログ歴3年目。現在30歳。国際結婚。長野県。読書感想や思ったことを記録していきます。

【読書感想】『Numbers Don't Lie』を読んで

Numbers Don't Lie

Numbers Don't Lie

当記事にお越しいただき、ありがとうございます。

今回はバーツラフ・シュミルさん著『Numbers Don't Lie』の感想をまとめます。

日経ビジネスの本の紹介で取り上げられており、読書家としても知られるビルゲイツ氏が推薦していたため、読んでみました。71テーマの広範な知識を数値とともに理解することができるよい教養本でした。ぜひご覧ください!

 目次:

 本の概要

本書は7章構成で全71テーマについて、データを踏まえた解説がなされています。7つの章立ては下記のとおりです。

  1. 第一章 世界の人々ー暮らしの変化ー
  2. 第二章 世界の国々ーグローバル時代の力関係ー
  3. 第三章 食ー身体と地球に優しい食べ方ー
  4. 第四章 環境ー賢い選択のために知っておくべきことー
  5. 第五章 エネルギーー燃料と電気にまつわる事実ー
  6. 第六章 移動ー200年間の進化とこれからー
  7. 第七章 機械ー現代の基礎を作った発明品ー

日本のことについても第一章と第二章でふれており、アメリカ人の著者が書いた内容のため、外国にはどう映っているのか少し理解できました。次章以降で本書からの学びを詳しく記します。

世界一のメガシティ東京

メガシティ一覧(2018年)

メガシティ一覧(2018年)

人口1000万人超の都市は「メガシティ」と呼ばれ、2016年時点で31都市あることが国連の調査でわかりました。その中で東京は3750万人と世界最大のメガシティになっています。

1800年時点では都市の住民は世界の2%未満でした。1900年でも5%ほどでした。しかし1950年になると30%に達し、2007年には世界人口の半分以上が都市部に住むようになりました。このような大都市への人口集中が続いている理由は、人材・知識・活動の一大拠点ができることで規模のメリットや好ましい競争が行われ、大都市の魅力が高まるためです。

また現在のメガシティの台頭を見ると、西欧の影響力が低下し、アジアの都市部が増加しています。2020年には35都市になったメガシティのうち20都市がアジアです。そして2030年までには国連は43都市に増加すると予測しています。増える都市はアジアが6都市、アフリカが2都市(タンザニアのダルエスサラーム、アンゴラのルアンダ)であり、アジアとアフリカが増加の中心となるでしょう。

アンモニアの大切さ

世界の穀物生産量とアンモニア生産量

世界の穀物生産量とアンモニア生産量

中学校の理科の実験で学んだアンモニア。フェノールフタレイン溶液をつかった反応実験などが懐かしいです。その当時は臭くて軽い気体としか認識がありませんでしたが、アンモニアの人工合成が歴史的に果たした意義は大きかったと知りました。

アンモニアの主成分である窒素が農作物の栽培において、生育に欠かせない多量必須元素であることが判明しました。リン酸とカリウムと窒素が肥料の三大要素です。近代化以前の農業では、肥料に必要な窒素を2つの方法で手に入れていました。1つは簡単に入手できる有機物質(藁、茎、葉、排泄物)を再利用してたい肥にする方法。2つ目は作物の輪作で穀物や植物油をとるための油糧作物をマメ科の植物と交互に作付けする方法でした。しかしどちらの方法も窒素を確保するには大変で、人口増加による食料を支えるには課題がありました。

その食糧増加を支えたのが、アンモニアの人工合成でした。1909年にハーバー・ボッシュ法で合成したアンモニアを利用した窒素肥料は世界の食物に必要な約半分の窒素を提供しています。しかし、人口窒素にも2つ大きな課題があります。1つは生成する際に大量の温室効果ガスを排出していること。2つ目は窒素の漏出です。食物の成長にして使用される窒素は約50%であり、残りの半分はそのまま残ります。それが窒素ガスや硝酸塩、窒素酸化物、亜酸化窒素などの形で自然環境に放出されます。それにより、川や海の汚染や地球温暖化が進むことにつながります。

これからも人口が増えていく中で窒素肥料の役割はますます大きくなります。しかし、それとともに2つの課題についても解決を図る必要があります。そして非農業従事者においても、フードロスを減らす等のできることから始める必要があります。

感想

広範なテーマについて、サクッと読める良い本でした。知らなかった情報も多く、この本をきっかけに調べものや考えることにつながりました。

メガシティの分析やアンモニアの大切さなどのほかにも、著者のGDPは国民の豊かさを示す指標としてふさわしくないという考え方も有用でした。現在GDPは年間の付加価値の総和として集計されています。しかし、戦争が起こったり、犯罪が増えて取り締まる場合などでも、それによって需要が喚起されれば、GDPは増加します。そのためGDPの増加=国が豊かになったこととは必ずしもつながりません。

ほかにも幸福度調査についても辛口のコメントをしていました。幸福度ランキングの高い国の中で経済的には豊かと言えないが幸福度の高い国の共通点は、スペイン語圏かつ敬虔なカトリック教徒が多い国となっています。具体的にはメキシコ、パナマ、アルゼンチン、エクアドルなどです。デンマークやスウェーデンなどの北欧が高いことは知っていましたが、中南米の国々が高いことを知り、物質以外の精神面での豊かさの大切さに気付くことができました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

また次回のブログでお会いしましょう。