27歳からのどっこいしょブログ

会社員。ブログ歴3年目。現在30歳。国際結婚。長野県。読書感想や思ったことを記録していきます。

【読書感想】日経ビジネス『逆風に芽吹く世界のビジネスモデル』を読んで(2/2)

日経ビジネス表紙『逆風に芽吹く世界のビジネス』

2020/1/13発行分 日経ビジネス表紙

当記事にお越しいただき、ありがとうございます。

今回は2020年1月13日発行分の日経ビジネス『逆風に芽吹く世界のビジネスモデル』の感想をまとめます。

当記事を読むことで下記3点が分かります。

  1. 社会のひずみによるビジネス
  2. 産業のひずみによるビジネス
  3. 消費者のひずみによるビジネス

昨日記事を書いていたところ、「2.産業のひずみによるビジネス」で文字数がかなりいってしまいました。

www.jiujingrentang.com

そのため、本日は「3.消費者のひずみによるビジネス」の部分と日本の状況はどうかについて書きました!

ぜひご覧ください!

 

目次

 

Part3:消費者のひずみ

世界最大の消費国であるアメリカ。そこでは消費者が抱えるひずみの解消をもとに始まっているビジネスが多くあります。はやりのサブスクはもはや当たり前であり、勝負はその先に移っています。

⑬家で楽しく運動できない(米ミラー/米ペロトン・インタラクティブ)

ミラー/ペトロン・インタラクティブ事例

ミラー/ペトロン・インタラクティブ事例

「フィットネス市場は米国で250億ドルの市場があり、成長している。ただ、フィットネス人口の3分の2は家の中でYoutubeをスマートフォンの小さなスクリーンで見ながら運動をしている。その状況を変えたい」

そう語るのはミラーのブリン・プットナムCEOです。ミラーはその社名の通り、インターネット接続機能などを組み込んだ”スマートミラー”をフィットネスに活用する差0ビスを18年9月に始めました。プットナムCEOは元々プロのバレエダンサーであり、引退後にフィットネスを始めた際、モチベーション向上の鍵が鏡(ミラー)にあると確信し、サービスを始めました。

オンラインフィットネス業界の先駆者として知られるのが、12年設立のペロトン・インタラクティブです。エアロバイクなどのフィットネス器具に備え付けられた画面医映し出されるインストラクターから励まされながら、自宅であたかもジムにいるかのような臨場感が味わえます。

両者ともにエアロバイクやミラーへの初期投資として15~20万円ほどかかり、さらに月額約4000円のサービス料がかかります。しかしアメリカのフィットネスジムの相場は入会金5万円、月額2~3万円のため十分ペイできる見通しが立つ価格設定になっています。

⑭選択肢が多く決められない(米スティッチフィックス)

初期投資を抑えることで導入の抵抗感を下げたサブスクモデルはアメリカではすでに当たり前となっています。そこからさらに消費者の気持ちに寄り添ったサービスを提供するかがカギとなっています。

その中で「選択肢が多すぎて買いたいものを決められない」という困りごとに寄り添ったのがスティッチフィックスです。同社は毎月20ドルで服やスニーカーなど計5アイテム届き、不要なものを返送すればOKというサービスを作りました。気に入ったものは買取も可能で、買った場合代金から月額の料金が差し引かれます。

同社の強みは利用者が設定したプロファイルや購入履歴に基づいて、AIが好みに合いそうな服やアクセサリーを自社・他社のブランドから選び出す仕組みです。また最終的にAIが判定したもので的外れな提案になっていないか人が判断し、お届けします。AIの活用は服の好みの分析だけでなく、サプライチェーンの最適化や今後流行する服の予想まで利用されています。

アマゾンエフェクトで既存のアパレル企業が破綻していく中、サブスクモデルの新興アパレルが成長しています。

⑮欲しいブランドがない(米グロシエ)

フィットネスもアパレルもひずみ解消のターゲットが00年以降に成人になったミレニアム世代に広く受け入れられていることが特徴です。ミレニアム世代は25年までに働く人口の4分の3を占めるようになるため、その世代を抑えることはビジネス上の意義は大きいです。

そしてSNS機能を使って、「対面していなくてもデジタルでつながる一体感」をうまく利用しているのが、化粧品会社のグロシエです。同社はDtoC(ダイレクトtoカスタマー)事業を展開しており、企業が顧客とネットでつながり、顧客から得たデータを活かして商品開発と販売を行います。インスタグラムやYoutubeで同社の商品が取り上げられるとすかさずコメントを入力。それによりお客様と企業とのつながりが強く感じられるようになり、ファンを育てるのです。

グロシエの創業者でファッションモデルのワイス氏は、「アマゾンに美は売れない」と語ります。女性が美の知識を得る時、最も信用するのは自分を良く知る人物です。顧客との結びつきが濃密ではないアマゾンとグロシエは、顧客との親密性で差別化ができていることが彼女の根拠でした。

⑯汚いトイレは嫌だ(米グッド・ツー・ゴー)

グッド・ツー・ゴー事例

グッド・ツー・ゴー事例

一方ミレニアム世代に限らず世代を超えた人類の欲求に対する答えを用意する企業もあります。トイレが身近にない、または公衆トイレの衛生面が不安という人をターゲットにしたサービスを行うグッド・ツー・ゴーです。

同社はスマートフォンアプリを使い、1回0.99ドル、もしくは月額19.99ドルで清潔なトイレを利用できるサービスをサンフランシスコ内で提供しています。同社が商業施設で提供するトイレはIoTセンサーを装備し、スマホで予約したユーザーがきたらトイレのドアが自動で開きます。施設側はIoTセンサーにより、1日のトイレの利用状況を把握することができます。

創業者のフラン・へーラーCEOは米製薬大手でビジネス開発の上級副社長を務めた経験があります。同氏は「清潔なトイレを誰でも確実にりようできるようにするのは、今後の超高齢化社会にとって切実な課題になる。多くの人がうごきづらくなり、トイレを探すのに苦労することになるのだから」と語ります。

Epilogue:ひずみ大国日本の活動

課題先進国といわれる日本。少子高齢化問題が象徴的ですが、1次産業や医療、宇宙など多くの分野でひずみを見つけることができます。「当たり前」として見過ごしてきた課題を解決するビジネスモデルは、世界に羽ばたく可能性もあります。

⑰1次産業の担い手不足(ウーオ/ inaho)

漁師の給与面改善を行う「漁師ファースト」の企業ウーオ。同社はスマートフォンを活用して、生産者である漁師とバイヤーをつなぐプラットフォームを構築しました。

一般的な水産物は、水揚げされた漁港で現地の仲買が買い付け、東京などの都市を中心に全国の消費地への送られます。そこで現地の卸売業者が仲卸に売り、地場のスーパーなどに流通していきます。多くの中間業者が手数料をとるため、消費者が買う価格は「一般的な浜値の2.5倍程度になる」と板倉CEOは話します。高く売りたい漁師と安く買いたいバイヤーを直接つなぐことで、漁師が買いたたかれることなく、いい条件を提示するバイヤーに販売する道を作ることができました。

また農業の面でも、ビニールハウス野菜用の自動収穫ロボットの事業化にこぎつけた企業があります。鎌倉に本社を置くinahoです。野菜は、コメや大豆などの一斉に収穫ができる作物とは異なり、生育具合に応じて出荷可否を確認する作業が発生します。毎日畑をじっくりと見て回り、腰をかがめて収穫するのは農家にとって負担が大きいです。イナホの自動収穫ロボットは、カメラが野菜を映し出して出荷可能か判断し、収穫まで自動で行います。ビジネスモデルは収穫高の15%をイナホが代金として受け取るというものです。大規模農家が少なく、収穫を人手に頼る場合が多い日本の農家ならではの課題の解消かもしれません。

⑱ニーズに合わない医療(リンクウェル)

東京・田町の駅前にできた新しい診療所「クリニックフォア」。1日の一般的な患者数は50~80人ほどの中、同クリニックは平日で200人と群を抜きます。

それを可能にしたのは15分単位で予約を取り、基本的な問診をスマホで済ませておく仕組みでした。内科医ながらコンサル会社のマッキンゼーでの経験もある金子氏。彼が解決したい課題として、働き盛りのビジネスパーソンがなかなか診療所に行かないことでした。その結果として生活習慣病から合併症にかかることも少なくありません。その問題の原因として待ち時間の長さがあり、それを解決するためネット予約や効率化を図ることを考えました。

⑲"モノ作り"では世界で戦えない(エアロネクスト)

モノ作り信仰が強い日本において、知的財産(IP)だけで勝負しようする企業がでてきました。それがドローンの機体開発を手掛けるエアロネクストです。

ドローンの製造においては中国に先行されている日本。そしてヒト・モノ・カネの資源に乏しいベンチャーとして生き残る戦略が知財でした。同社はドローンが飛行するときに期待の中心部を水平に保つ物理的な重心制御などで特許を持っています。この先ドローンが物流や人の移動に使われるようになると、この技術が不可欠になるとみて、「4D GRAVITY」というブランドでライセンス契約を結ぶ知財戦略を組み立てました。

⑳相次ぐ自然災害(シンスペクティブ)

宇宙ビジネスと自然災害を掛け合わせたビジネスモデルを考案した、小型衛星の開発を手掛けるシンスペクティブ。同社のビジネスモデルは地震や台風、洪水などの自然災害の悩みが尽きない日本独自の発想でした。

同社は小型衛星を独自の小型化技術で10分の1程度に重さや費用を抑えたものを開発。その衛星からのレーダーで地形の変化のデータをとり、AIを活用してそのデータを読み解きソリューションとして企業や自治体に提供するビジネスモデルを考えました。

シンスペクティブ事例

シンスペクティブ事例

これまで日本のイノベーションはソフトバンクの孫氏による「タイムマシン経営」のような、世界の先進事例を日本に持ってくるものでした。しかし社会課題の解決からスタートしたイノベーションは日本のみならず世界への道につながっている可能性があります。

私の感想

記事後半の内容も非常に面白く、結局具体的な企業をひとつづつ紹介することになりました。笑

しかし一般的で抽象的な内容よりもイメージがつきやすく、有意義な内容でした。

私の会社の今の目的はPart3の消費者のひずみを解決するものかなと考えながら読んでいました。しかしお客様のひずみがより安くサービスを使いたいというものになっていると思います。それは私が消費者の声を掘り切れていないかもしれません。しかしコモディティ化したサービスや製品においては、最終的には価格競争が起こるものです。そしてその争いからの転換点を見つけることができていない状態だと思います。私自身も今一度社会課題から考えて、自社の技術と世の中の技術を掛け合わせてどのようなビジネスモデルが作れるか考えるきっかけになりました。

また最近インスタグラムを使った集客が肝になっているという話を聞いたことがあり、その仕組みがいまいちピンときていませんでしたが、⑮のグロシエの例で理由がわかりました。ほかにもコロナウイルスの影響で多くの芸能人がインスタライブをやったり、Zoomをつかった参加型コントをしたり、Youtubeでのライブ配信をしたりするなど、サービスの提供者と需要者が近くなっているなと感じます。そのような深く狭いコミュニティの中から大企業やスターが誕生するようになるんだなとわかると同時に、SNSの影響力を自分は今まで過小評価していたなと反省しました。

今回知った企業においては、その後の成長がどうなっていくのか経過観察をしたいと思います。1月号を捨てずにとっておいてよかったと心から思いました。笑

最後に:今週の本紹介

日経ビジネスで紹介されている話題の本を私の備忘録として載せます。

気になる本があれば、感想をブログにアップする予定です!

皆さんも気になる本がありましたら、ぜひコメント欄で教えてください。

  • 『この一冊でわかる 世界経済の新常識2020』
  • 『日中関係史』
  • 『ルポ トランプ王国2』

最後までお読みいただき、ありがとうございました。