27歳からのどっこいしょブログ

会社員。ブログ歴3年目。現在30歳。国際結婚。長野県。読書感想や思ったことを記録していきます。

【読書感想】日経ビジネス『コロナ大再編』を読んで

日経ビジネス表紙「korona 」

2020/6/21発行分 日経ビジネス表紙

当記事にお越しいただき、ありがとうございます。

今回は2020年6月15日発行分の日経ビジネス『コロナ大再編』を読んだ感想をまとめます。

コロナショックで人々の生活様式が変わる中、多くの企業が淘汰されています。コロナ前から綻びが見えていた企業や、体力がなく変化に対応しきれなかった企業など、アパレル、外食、百貨店、自動車業界で起こる大再編の予測をみてみましょう。

ぜひご覧ください!

 

目次

 

PART1:ゾンビ企業、退場へ

コロナショックで倒産した海外企業リスト

コロナショックで倒産した海外企業リスト

リーマンショック後の金融緩和の中でなんとか生き延びてきたゾンビ企業。その会社が退場する世界がきています。

日本のアパレル大手のレナウンがコロナ後の上場企業で初の民事再生法の適用を申請しました。海外でも豪空港2位のヴァージン・オーストラリアや中南米航空最大手のLATAM航空、米高級百貨店のニーマン・マーカスなどが相次いで破綻しています。コロナの影響がどれほどなのか、見てみましょう。

日本での影響

世界恐慌 イメージ図

世界恐慌 イメージ図

アベノミクスに代表される金融緩和を受けたカネ余りにより、日本ではゼロ金利、マイナス金利が常態化していました。その結果企業の資金繰りのハードルは下がり、結果的にゾンビ企業を多く生み出しました。レナウンはその代表例で2004年から2020年までの16年間で黒字はたったの4年のみ。累計赤字は432億円におよびます。

新型コロナがゾンビ企業の息の根を止める役割をしており、その影響は多くの業種に広がっています。トヨタは21年3月期の世界販売台数を前期比15%減の890万台としました。8年間割ることのなかった1000万台の壁を割っています。

リーマンショックの場合はお金の流れが止まる信用収縮が起きたことが原因でした。そのため金融政策でお金の流動を回復させることで、危機から脱却できるシナリオがありました。

しかしコロナウイルスの場合、回復シナリオが描きづらいことが問題です。それによりリーマンショック以上の打撃をこうむる可能性が各企業にあります。そしてその影響は1930年代の世界恐慌レベルという認識が経営者の間で広まっています。

世界のGDP損失

世界経済の成長率

世界経済の成長率

世界経済への影響として、国際通貨基金は世界経済の成長率は-3%になると予測しました。リーマンショックにおいても世界経済の成長率は-1%であり、世界恐慌の-15%に次ぐ不況になると考えられています。

また世界のGDP損失額は約568兆円と試算されています。ブルッキングス研究所が試算したもので、最悪のケースでは981兆円もの金額が損失されます。2019年度の世界のGDP総額は約9100兆円です。日本のGDP損失額の試算は約34兆円。2019年度の名目GDPが552.6兆円だったため、およそ6.2%減少します。

次に日本の損失額34兆円をどの業界に振り分けられているか確認しましょう。

コロナによる各業界の影響

業界別日本のコロナ影響額

業界別 コロナ影響額

上のグラフを見ると自動車業界が11兆円の影響、それに伴い自動車部品も2兆円の影響を受けることが予測されています。また商社・卸売やエネルギーは原油の価格下落の影響が大きいです。

一方でプラスに働く企業もあります。ワクチン開発が期待される製薬業や、巣ごもり消費が追い風となるスーパーマーケット、コンビニエンスストア、在宅勤務で需要が増える通信インフラなどです。

コロナショックを生き延びるため、企業は固定費の削減に努めます。その代表例がリストラの敢行です。しかしながらコロナの影響の試算が難しいため、企業によっては協業による再編で生き残りを検討する会社も増えてきます。次章からコロナエフェクトを乗り切るための大再編がどのように起こるかの予測を見ていきましょう。

PART2:生存のための大再編開始

コロナでダメージの追った企業を安く買うことで、アフターコロナの成長戦略を描くチャンスでもある今。虎視眈々と狙っている大企業や海外勢など、起こりえるシナリオを見てみましょう。

外食産業

パブレストラン/居酒屋の売上高同月比

パブレストラン/居酒屋の売上高同月比

すでに再編の動きがあり、新型コロナで加速しそうなのが、外食産業です。焼肉屋「牛角」など幅広い業態をもつコロワイドの野尻社長は、「売上高1兆円の芽が外食が生まれるだろう」と話します。コロワイド自身も19.1%出資している大戸屋HDの子会社化を急ぐ予定です。コロナでフランチャイズ店が閉店する前に、子会社化して企業価値の補填を行いたいと考えています。

また「いきなり!ステーキ」で勢力を伸ばしていたペッパーフードサービスの動きも注目されています。2019年12月期の最終損益で27億円の赤字を出したことは記憶に新しいかと思います。自己資本比率も2%まで下がり、有価証券報告書に「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」まで記載されました。

そのペッパーフードがコロナの影響後2つの動きを見せました。1つは仕入れ先のエスフーズの村上社長から20億円の借り入れをおこなう発表をしました。このことから銀行の資金繰りが厳しいことが予測されます。2つ目は主力業態のペッパーランチ事業を分社化しました。これは事業売却への布石と見られています。

時価総額が落ちているペッパーフードサービスを買収する可能性があるとすれば、日本ハムなどの食肉大手と予想されます。食肉企業が川上から川下まで事業を展開するチャンスとして食指が動く可能性があります。

また居酒屋業界もコロナの影響を受けています。「東方見聞録」「金の蔵」など約1000店舗営む三光マーケティングフーズは、20年6月期に4期連続の最終赤字となる可能性が高いです。居酒屋の売上推移はコロナショック後の2月から前年比マイナスが続いており、緊急事態宣言が発令された4月は90%以上売上減少した店舗もあります。

その三光マーケティングを狙っていると予測されるのが、酒類販売大手やまやです。同社は13年に「はなの舞」などのチムニーを傘下に収め、18年に「つぼ八」を買収しました。家庭用販売と業務用の販売ルートを強化でき、居酒屋事業としてもスケールメリットを活かすことができる算段がつきます。

百貨店

百貨店の前年同月比増減率

百貨店の前年同月比増減率

5月の売上高が前年比7割減となっている百貨店業界。緊急事態宣言が解除された後も以前自粛が続き、厳しい環境です。その中で再編のターゲットとなりえるのは、三越伊勢丹とそごう・西武です。

百貨店の魅力は日本橋や銀座などの好立地にある店舗、富裕層の顧客データベース、優秀なバイヤーの存在です。百貨店のビジネスモデルは自社で仕入れ販売することに加え、テナントを貸し、賃貸で儲ける不動産型ビジネスモデルも存在します。売り場の売上高の変動を受けにくい不動産型モデルが魅力と捉えられ、買収に動く企業があるかもしれません。

具体的にはタイの小売最大手、セントラル・グループ。10年代以降、イタリアやデンマーク、ドイツなどの百貨店を』買収しました。資金においてもセントラル・グループの中核企業がタイ証券取引所に上場し、同国最大のIPOとして2700億円を調達しました。

また百貨店企業以外の業種からも声がかかる可能性があります。それがアマゾンやアリババなどのIT企業です。顧客とリアルな接点を持ちたいと望むプラットフォーマーの企業が買収を検討する可能性があります。

アパレル

総合アパレル業界の三陽商会。同社の株式の6%を持つ大株主から「戦略的パートナーを探すべきでは」と、事実上の身売り勧告を突きつけられました。同社はバーバーリーの販売ライセンスの契約が終了し、業績が悪化していました。

その買い手候補として、中国勢の「安踏体育用品」がいます。日本での流通・小売りのノウハウを手に入れるため、デサント株を取得した同社は日本進出にも意欲的です。またネット企業のZOZOTOWNも実験店舗を得たいと思えば、買い手になりえます。

また在宅勤務でスーツ需要が急減した紳士服業界もダメージが大きいです。最大手の青山商事は20年3月期に創業以来はじめての最終赤字となりました。すでに企業価値として「店舗網のみ」と厳しい指摘があります。ロードサイド型の小売で成長しているワークマンなど、すべてのアパレルが詰んでいるわけではありませんが、厳しい業界であることは間違いありません。

航空

国内航空の出資相関図

国内航空の出資相関図

世界の航空会社も多く破綻した中、日本でもすべての航空会社が存続の危機に立っています。政府系や民間の金融機関に融資を要請しているものの、すべての会社が生き残れるかは疑問です。業界大手のANAとJALの2社は国の後ろ盾があり、問題なさそうです。しかし第三位のスカイマークの将来に注目が集まっています。

スカイマークは21年3月期の上期だけでも200億円規模の営業赤字に陥る可能性があります。そのなかで日本政策投資銀行や民間金融機関と融資の交渉に入りました。しかし日本政策投資銀行も破綻の影響度の大きなところから融資枠を設定する方針である可能性が高いです。三井住友銀行についても、「融資要請が殺到して貸せるお金に限りがある」と漏らします。

そんなスカイマークを再編するとすれば、まずは16.5%出資しているANAHDです。外資系の投資ファンドがANAHDと組んで、経営権を取得するシナリオも描けます。次に海外の航空会社がスカイマークを狙う可能性はあります。スカイマークがもつ羽田空港の発着枠は、外資系企業にとって魅力的です。中国南方航空やエミレーツ航空など中東系、インドLCCが候補になりそうです。

自動車

完成体の販売台数が減る中で自動車業界の協業が加速する可能性があります。仏ルノーと日産の日仏連合は枠組みはいまのままで変更はしないこととしましたが、関係を深めると表明しました。しかし、日仏連合だけでは乗り越えられず、新たな提携策を見つけていく流れが考えられます。その候補がフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)」です。また経営状況が厳しい米フォード・モーターも再編の候補に挙がっています。

一方で日産から34%出資を受けている三菱自動車が離れていくことも業界内でささやかれています。日産の拡大路線に違和感を感じている益子会長が、スナールルノーCEO・内田誠日産社長との間に距離を取り始めているようです。

また完成車よりも部品メーカーの間で再編が加速する可能性があります。日産系とホンダ系の部品メーカーがねらい目とされており、工藤・排気系などのユタカ技研、シャシーのエフテック、クラッチのエフ・シー・シー、日産系では内装の河西工業やサスペンションのヨロズ、車体用プレスのユニプレスなどの業績が厳しいようです。

シート部品に強く売上高2兆円規模の仏フォルシアはすでにホンダ、日産系の複数の企業に買収提案を持ち掛けています。また仏ヴァレオもランプの市光工業に続いて動きをかける可能性があります。国内であればトヨタ系の部品メーカーが軸となり、再編の動きがあるようです。

電機

シャープと鴻海の事業統合

シャープと鴻海の事業統合

シャープの液晶事業が再び注目を浴びています。シャープは5/29に主力事業のディスプレーとカメラモジュールの分社化を発表しました。会社全体の20年3月期の連結営業利益は前の期比37%減の528億円。21年3月期に分社化した2事業の新しい出資先を模索します。

ディスプレー事業の提携・出資先として考えられるのは堺ディスプレイプロダクトや台湾・イノラックスなど、鴻海グループの企業でしょう。そしてもう一つはジャパンディスプレイです。官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)が何度も模索した大連合の構想がコロナの再編により実現するかもしれません。

そのカギを握るのは、両社の最大顧客である米アップルです。シャープとアップルはJDIの白山工場の共同買収にむけて交渉中です。それを統合にむけた第一歩とみている関係者もいます。しかしながらアップルは今秋以降に投入する新型「iPhone」で有機ELディスプレーを全面的に採用するもようです。JDIとシャープのディスプレー事業が連合しても自体は好転しない可能性は十二分にあります。

PART3:今こそニューノーマルへ備えよ

アメリカではフェイスブックやマイクロソフトなどがM&Aに積極的な姿勢を見せています。コロナ禍で値打ちが出てきた企業や案件を求めて、世界では投資家が動いています。これに対して日本はコロナ禍でのM&Aは否定的です。日本電産の永守重信会長兼CEOですら、「今はキャッシュ・イズ・キングだ」と慎重姿勢を崩しません。

人類の過去の歴史を振り返ると、疫病や経済といった数多くの危機に乗じて社会構造を大きく変えてきました

19世紀に大流行したコレラは、細菌学や免疫学などの近代医学、顕微鏡や注射器、体温計など医療機器が生まれるきっかけになりました。さらに都市部の劣悪な環境でコロナが蔓延したことを機に、田園都市の概念が生まれ、公害と通勤用鉄道が建設されました。14世紀のペストでは協会の権威や封建制度が崩壊し、近代化の幕開けとなりました。20世紀の世界恐慌では米国で社会保障という概念が生まれました。

コロナによってもたらされる生活の変化と比べれば、業界の再編は大きな変化ではないかもしれません。withコロナ、Afterコロナによってデジタルトランスフォーメーションが加速することでしょう。移動の概念が弱まり、さらにデジタルの世界の比率が高くなる世界がすぐそこまで来ています。

感想

日本企業はITベンチャーとの協業が吉?

コロナの影響を受けて、経営が悪化している企業が具体的に理解でき良かったです。

PART3の内容で、アメリカのGAFAMが積極的なM&Aに動いている理由として、コロナの影響を受けづらい業態であることと、もともとキャッシュが潤沢にあったことが考えられます。現在の日本の企業のほとんどが製造業であり、コロナによる経済悪化のあおりをうけるため、その中でのM&Aは慎重にならざるを得ないことは仕方がないことだと思いました。そのため日本ではM&Aではなく、ITベンチャーとの協業によってDXを加速させた企業が数年後の勝者になると思います。わたしも自分事として、今の会社とテクノロジーでどんな価値を社会に提供できるようになるかを考えていきます。

家計管理を引き締めよう

またコロナの影響で日本のGDPの影響予想額がざっくりとわかったことはよかったです。日本のGDPが6.2%減少する可能性があるということは、自分の年収もその分減少する可能性があります。自分の場合6.2%年収が減るとだいたい1か月分の給料に相当するキャッシュが減ります。そう考えると、去年通り生活していたらいけないなと身が引き締まる思いです。そのため月次の家計管理を引き続き行い、我が家の予実管理を徹底していこうと誓いました。

過去から学ぼう

ペスト・コレラの流行、世界恐慌などの過去の歴史から学ぶことは多いと感じました。よくスペイン風邪(インフルエンザ)の流行と比較されることはありましたが、自分はまだまだ過去の事例が理解できていないのでこれを機に本などを読んでみようと思いました。

最後に:今週の本 紹介

日経ビジネスで紹介されている話題の本を私の備忘録として載せます。

気になる本があれば、感想をブログにアップする予定です!

皆さんも気になる本がありましたら、ぜひコメント欄で教えてください。

  • 『フラウの戦争論』
  • 『戦争論』
  • 『古代ローマ名将列伝』

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

次回のブログでお会いしましょう。