当記事にお越しいただき、ありがとうございます。
今回はジェフェリー・フェファーさん著『なぜ、わかっていても実行できないのか』の感想をまとめます。
やるべきことはわかっているのに実行に至らず、会社として停滞していく、そんな企業に対し、多くの実例を調査しながら5つの原因を紹介しています。私個人としても、実行に移れない理由として心当たりのあるものもあり、大変参考になりました。
ぜひご覧ください!
目次:
概要
本書は「分かっていても実行できない」といった企業の悩みについて、実例を調べる中で判明した5つの原因を説明しています。
- 問題を話し合っただけで仕事をした気になる
- 過去のやり方にこだわりつづける
- 部下を動かすために恐怖をあおる
- 重要でないことを評価している
- 業績をあげるために競争させる
HPやGEなどの実際の企業の失敗例などを豊富にいれながら、どのようなプロセスで知識から行動に移る流れが止まってしまうのかが分かります。そして最終章では知識を行動にかえるポイントとして8つ紹介しています。
- 「どうやって行動に移すのか」よりも「なぜ行動できないか?」を理解する
- 知識は行動することで身につく
- どんなに素晴らしい計画やコンセプトよりも、行動のほうが価値がある
- 行動して失敗したときも寛容になる
- 恐怖心を追放する
- 社内競争を遠ざけ、適切な競争を行う
- 行動を評価点に加える
- リーダーが率先して動き、知識を行動に促す
次章以降で心に残った行動できない原因を2点詳しく説明します。
できない原因①『恐怖』
会社において「恐怖」の力でマネジメントをする企業は少なからずあります。見せしめに誰かを怒ることで、緊張感を持たせ、行動させる。人は恐怖がないと怠惰な方向に流れてしまうという認識です。
しかし、恐怖が蔓延している企業では、リスクを伴う行動は極力避けられます。現状の延長上の行動だったり、𠮟責を避けるためだけの行動がはびこります。結果的に企業にとってもっとも行うべき行動は選択されなくなります。
そして組織から恐怖心と怠惰を追放する方法として、下記の内容が挙げられています。
- 悪い知らせを伝えた人をほめ、見返りを与え、昇進させる
- 行動しないことだけが、本当に深刻な失敗である。失敗ではなく、行動しないことを罰するべきだ
- リーダーも失敗談を率先して語る
- オープンなコミュニケーションを奨励する
- 失敗しても第二、第三のチャンスを与える
- 人に恥をかかせる人、特にリーダーは追放する
- 間違いから学ぶ
- 新しいことに挑戦した人を罰してはいけない
できない原因②『不適切な競争』
競争は社員のやる気を引き出し、行動を起こすことにつながります。しかし、会社内の仲間内での競争は、全くの逆効果です。なぜならば相対評価によって評価が決まる場合、相手の足を引っ張る作戦が合理的選択としてとられます。それによって、組織全体でシェアすべき情報や行動が共有されず、結果として組織としてのアクションにつながらなくなります。
解決策として会社外の共通の敵に対する競争心を使う、チームとしての結果やアシストなどの過程での行動を評価ポイントにすることが挙げられています。そのほかのものも含め、社内競争を克服する方法として挙げられているものを紹介します。
- 会社が成功するために、人と協力して仕事をする能力と意欲のある人を採用し、定着させる
- 自分だけの目先の利益を追う人は、解雇/降格/懲罰などを科す。
- 外部の競争相手に向けて、関心やエネルギーを向けさせる
- 内部に競争を起こすような給与体系や評価システムはやめる
- 協力を評価する方法を開発する
- 同僚たちの成功があって初めて、個人の成功があるという企業文化を培う
- リーダーが共同で仕事をしたり、情報をシェアする姿勢を示す
- 協力し、援助しあうグループを作った人々を経営のトップに昇進させる
- 力や権威を使って、情報共有や共同作業を浸透させ、総合的な業績を伸ばす
感想
わかったつもりで行動までできない自分にとって、非常にためになる本でした。
自分が行動できない理由は本書に書かれている「恐怖心」です。特に職場環境が恐怖をあおるような場であるわけではありません。しかし自分の中のプライドの高さと自己への過大評価によって、失敗や傷つくことを過度に恐れてしまっています。その結果、現状維持で目立たない行動をとることで自己防衛に走り、結局成長出来ていません。
しかしながら失敗したとしても、すぐに改善すれば評価としてはプラスになるはずです。失敗を失敗のまま終わらせてしまうことが悪いだけで、失敗自体は悪ではないです。また自分に仕事における芯がないため、周りの目を気にして失敗を恐れてしまうと思います。自分が正しいと思うこと、わからないと思うことを素直にぶつける。西郷隆盛のような愚直さで己に打ち克っていきます。知っているつもりで終わるのではなく、陽明学の「知行合一」の言葉を胸に、これからの仕事を頑張ります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう。