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今回は日経ビジネス2月3日分日経ビジネス「『内定辞退率』に是正勧告~敗軍の将、兵を語る~」を読んでの感想をまとめます。
本記事で下記3点が分かります。
- 内定辞退率販売の問題点
- リクルートキャリア代表取締役社長の考え
ぜひご覧ください!
目次
内定辞退率販売問題とは?
内定辞退率販売問題とは、リクルートキャリアが「リクナビ」に登録した就活生の「内定辞退率」をAIで予測し、企業に販売していた問題です。就活生の同意を得ておらず、政府の個人情報保護委員会から2019年8月に勧告をうけて、サービスは廃止となりました。
法的な不備は下記の3つです。
- 取り扱っていたデータが個人情報に該当していたこと
- 個人情報にならないという誤認識
- 学生の同意を得られていなかったこと
1については、当初は内定辞退率は個人を特定できないことを前提にしていました。しかしながら、ほかのサービス経由で個人情報を入手し、照らし合わせることで個人の内定辞退率がわかる状態になっていました。
2については、イレギュラーな状況で仮に個人情報を入手したとしても、データをハッシュ化(規則性のない値によって元のデータを置き換えること)すれば、非個人情報になると認識していました。それにより本人の同意なく、内定辞退率を第三者に提供していることになりました。
3については、ウェブサイトのプライバシーポリシーの変更の際に一部ページで修正されておらず、これによって適切な同意なしで個人情報が企業側に提供されてしまっていました。
そして販売契約を結んでいた37社に対して行政指導が実施されました。そしてデータを購入したトヨタ自動車や三菱商事など35社の社名公表に踏み切るという異例の対応がとられました。
もしよろしければリクルートキャリアのHPに詳細が書いてあります。
ご興味のある方は見てみてください。
発生原因と社長の考え
法整備などが不十分な中リクナビDMPフォローがローンチされた理由として、「革新的なサービスが生まれないという危機感があった」とリクルートキャリアの社員は語ります。まだ研究開発段階(事業化前)のサービスであり、その中でリスクを適切に判断できませんでした。
小林社長は、本サービスが就職活動に影響を与えると考えていなかったとのことです。本来このサービスは内定辞退率の高い社員に対しフォローを行ったり、内定辞退の対応に追われ、本来やるべき仕事ができていない人事部の負担を減らすことが目的でした。
しかしながら、「内定辞退率」という強い言葉によって、センシティブな就活生の不安を誘ってしまいました。
またリクルートの体質として「現場が勝手にいろんなサービスをつくる」ということが挙げられます。それは伸ばすべき長所でもありますが、今回は適切なブレーキ機能がかからなかったことになります。小林社長も、社員がルールを破ったわけではなく、ルールそのものが問題だったと述べています。
人材ビジネスの今後
今後のビジネスは新卒一括採用の一辺倒ではなくなります。
新卒採用市場は、非常に特殊なマーケットで、上位10%の企業に応募者の60%が集中します。このような偏在は中途採用市場ではありえません。中途採用の場合、職務要件とレベルが明確に募集要項として決められているため、ピンポイントで行われます。
日本の新卒一括採用というのはポテンシャル採用です。そしてそれによって大量に人を雇い、終身雇用、年功序列の企業制度のなかでじっくり育てることにあっていました。そしてポテンシャル採用であるからこそ、「明るく元気な人材」などの定性的な要件しかなく、結果応募が集まります。
リクナビはこれから企業に情報開示を促す取り組みを強化していきたいと思っています。3年間の離職率や給与体系の詳細などです。
今後は新卒一括採用のみならずSNSや様々なサービスを利用したマッチングが、新卒採用市場においても広がっていくことと思います。
私の感想
私自身はこのリクナビの行っているサービス自体は面白い発想だと思いました。
もちろん私が就活生でしたら嫌悪感を覚えます。笑
サービスの目の付け所としては面白いし、しっかり困りごとを解決している点でもよいと感じました。しかしながら企業、就活生、リクルートの三方よしの取引ができていなかったのだと思います。今回は就活生にメリットを付与できなかったことが問題でした。
現に似たようなサービスは世の中にはあります。それは個人の信用度をAIでスコア化し、それにより個人の信用度を上げて銀行の融資を受けやすくするサービスです。それはお金を借りたい個人と、お金を回収できる人に貸したい銀行、そしてサービス料をもらう企業の3つの立場それぞれにうまみがあります。(J-Scoreというアプリがそのようなサービスをしていたはず)
そういった信用度を利用したビジネスは新興国でも行われており、個人タクシーのようなUberや滴々出行などではドライバーの評価を見ています。さらにメルカリでも出店者の評価を見たりしています。
信用度をスコア化することのいい面は、具体的にスコアが出ることで、努力する気になるかなと思いました。さらに融資などの判断をする上では根拠になりやすいため、今後増えていくと呼ばれているフリーランスの広がりとセットで普及するでしょう。
また本記事を読んで、グーグルアドセンスもある種個人情報であるよなと思いました。本人の履歴やネットでの活動内容からその人にあった広告を配置されています。それを考えると、Googleに何気なく打ち込んでいた検索ワードも、アルファベットからマジックミラーで覗かれているような感じがしますね。笑
個人の情報やデータを使って商売を行うことができるチャンスや変化が起きる、そして内定辞退率販売問題は課題はあったが大きな流れや向きにおいては正しいなと感じました。
最後に:私のおすすめの本紹介
最後に私のおすすめの本を紹介します。
非常にベタですが、私の好きな本ベスト3に入ります。
それは星新一さんの「ボッコちゃん」です!
皆さんも一度は読んだことある人も多いかと思いますが、ショートショートと呼ばれる短編の集合、気持ちよく裏切られるオチなど魅力的な本です。短時間で読めますので、ぜひ図書館や本屋さんで手に取ってみてください。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。