27歳からのどっこいしょブログ

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【読書感想】『五輪書』を読んで

五輪書 わが道をひらく

五輪書 わが道をひらく

当記事にお越しいただき、ありがとうございます。

今回は宮本武蔵著 前田信弘編訳『五輪書 わが道をひらく』の感想をまとめます。

伝説の剣豪宮本武蔵が剣術の極意として書き記した五輪書。孫子の兵法同様に現代社会のビジネスにも応用できる内容が数多くありました。ぜひご覧ください!

目次:

本の概要

本書は60戦以上の戦いを無敗で生涯を終えた大剣豪・宮本武蔵の教えを残した書物です。その五輪書の内容を前田信弘さんが現代語訳に落とし込み、内容を解説している1冊になります。構成は下記のとおりです。

 

第一部 宮本武蔵『五輪書』とは

 第一章 今読み直されるべき名著『五輪書』

 第二章 宮本武蔵の生涯

第二部 現代語訳と原文で読む『五輪書』

 第一章 地の巻

 第二章 水の巻

 第三章 火の巻

 第四章 風の巻

 第五章 空の巻

第三部 『五輪書』に学ぶビジネス哲学

 第一章 ビジネス書として読む『五輪書』

 第二章 『独行道』

 

ただ五輪書を読むだけでなく、宮本武蔵の歴史と著者による解釈が入っているため、入門書として読むには最適でした。また五輪書は5つの巻からなっています。

  1. 地の巻:兵法や武士の位置付けなどの基礎となる考え方
  2. 水の巻:兵法の心の持ち方、基本の5つの構え等
  3. 火の巻:戦闘における具体的技術や心理戦等
  4. 風の巻:他流派との技法上の相違点
  5. 空の巻:「自然に真の兵法の道に入ることを、空の巻として書きとめる」と全体を総括する

高校時代剣道部だったこともあり、火の巻や水の巻はその時に読みたいと思う内容でした。それほど剣術として具体的な内容が書かれているものの、いかなる競争にも通ずる考え方があり、社会人の自分にも大変興味深い内容が多く含まれていました。

宮本武蔵の歴史

佐々木小次郎との巌流島の戦い等が有名な宮本武蔵。しかしその生涯についてはこの本で知ったため、紹介したいと思います。

まず出生についてですが、『五輪書』内では播磨国(兵庫県)生まれと記載があります。(通説では岡山県生まれの説もあります)生まれた年は宮本家系図によると1582年となっており、その年には本能寺の変が起きています。幼少期は武芸者の養父・宮本無二に育てられ、日々剣術の研鑽を積んでいました。

そして13歳の時初めて戦い、新当流の有馬喜兵衛に勝利を収めました。そして16歳で但馬国の秋山という力強い武士にも勝利し、着実に成長していきます。尚、武蔵の養父が使えた美作の新免家は、関ヶ原の戦いでは西軍方の主力となった宇喜多秀家の配下で戦い、その中の軍勢に武蔵もいたと考えられています。

21歳の時京都に上り、天下に名を知られた武芸者と数度にわたって勝負します。武蔵の名が有名になったのは足利将軍家の兵法師範だった吉岡一門に勝利したことがきっかけでした。吉岡家の当主清十郎と勝負し、木刀の一撃で倒しました。その一撃で相手の清十郎はもはや剣術ができない体になりました。続いて伝七郎と勝負し、木刀を奪って打ち絶命させてしまいました。その後門弟たち数百人が武蔵を討とうと弓矢で準備していたところ、その中を武蔵は武威を発揮し生きて帰ってきました。

その後諸国を回って様々な武芸者と戦いました。13~29歳までで60回を超える勝負を行い、一度も敗れることはなかったといいます。30歳を超えてからそれまでの数々の勝負を振り返り、さらに深い道理を追求し、修行を重ねます。そして50歳のころにやっと、自然と兵法の道にかなうようになったと『五輪書』内で述べています。

59歳のころ熊本の細川家の客分となり、没するまで熊本で生活をします。そして藩主の命令で武蔵の流派の剣術や心得をかいた書『兵法三十五箇条』を献上します。その内容をもとに『五輪書』を書き始めます。そして『独行道』という武蔵の生きざまを端的に書いた21の短文を残し、64歳の生涯を終えます。

30歳まで実践を重ね、30~50歳まで真理を追求し、60歳から自分の人生訓を残す。その時々を真剣に生きてきた武蔵だからこその素晴らしい生涯だと感服しました。

合理的な武蔵の考え

宮本武蔵の伝説ばかり聞いていると、現実離れしたような内容が書いていると思われるかもしれません。しかし、武蔵の考えはただひたすら「勝利」のためにどうすべきかということを合理的に考えた内容になっています。

地の巻においても剣道などで使える武芸ではなく、真剣勝負で生き残るための実践で役立つ内容が具体的に書かれています。それは構え方であったり、1人対大勢での戦い方であったり、細かく網羅的に記されています。どんな状況にも対応できるよう、あらゆる状況を想定して日々の鍛錬をしていたことがわかりました。

「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を練とす」という言葉のとおり、実践で活きる技にするためには血の滲む稽古が必要であると何度も説きます。「朝鍛夕練」という言葉も発しており、日々の鍛錬から武蔵の実績が作られたと勇気をもらうことができました。

感想

武芸をやった人であれば、宮本武蔵の具体的な教えも興味深く読むことができます。またそうでない人も、構えの姿勢や拍子の重要性、気構えの作り方など参考になるものが多いと思います。また人生で迷いが出る際に読み直したい1冊だと感じました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

また次回のブログでお会いしましょう。