27歳からのどっこいしょブログ

会社員。ブログ歴3年目。現在30歳。国際結婚。長野県。読書感想や思ったことを記録していきます。

【読書感想】日経ビジネス『終焉GAFAの時代』を読んで 1/2

日経ビジネス表紙「終焉GAFAの時代」

2020/1/6発行分 日経ビジネス表紙

当記事にお越しいただき、ありがとうございます。

今回は2020年1月6日発行分の日経ビジネス『終焉GAFAの時代』を読んだ感想をまとめます。尚、ボリュームが多いため、2回に分けて内容をまとめます。

当記事を読むことで下記3点が分かります。

  1. GAFAの影響力の大きさ
  2. GAFAを規制しようとする国の動きと考え方
  3. テック企業への各地での反発の内容

これからますますデジタル化が進む中で、教養として知っておくべき数値が盛りだくさんです!

ぜひご覧ください!

 

目次

 

PART1:帝国になったGAFA

帝国のようにふるまうGAFAに逆風

グーグルの兄弟会社サイドウオーク・ラボは現在カナダのオンタリオ湖の水辺にスマートシティーを建設する計画を推し進めています。ヨガ教室やカフェ、クリニックが路面に軒を連ね、移動は自動運転車による。ネット注文したものは自動台車で家まで配達されたり、家庭や企業で出たごみは地中管を通って収集車に送られる。

そんな夢のような計画にも地元市民は反感を抱いています。それはその街づくりがユートピアではなくディストピアになりうるからです。グーグルが「その街の公共サービスに役立てる」という名目のもと人々のデータを集め、ある種の監視社会が出来上がってしまう恐れがあるからです。

フェイスブックの個人情報流出の問題や16年の大統領選におけるロシアの世論工作などの問題を口火として、巨大テック企業への不信感を強めています。

数値で見るGAFA帝国

GAFAに関するデータ

GAFAのデータ

GAFAの規模は国家レベルまで膨れ上がっています。

従業員が100万人にすぎないGAFAの総時価総額(企業価値)は3兆3570億ドルと、世界第4位の経済大国のドイツとほぼ同等です。

またGAFAのサービスを利用している人は55億人。世界の人口の74%にあたります。

歴史において帝国と呼ばれる国は、フロンティアを開拓することで繁栄してきました。物理的に開拓できる土地がなくなった今、サイバー空間をフロンティアとして開拓し、膨張を続けていると分析できます。

日本での反対活動

日本でのテック企業への反対

日本でのテック企業への反対

各地で反乱がおきている中、日本においてもテック企業への反対運動が起きています。

タクシー業界の破壊者となるウーバー。免許証と自家用車さえあれば誰でも参入できるため、アメリカではタクシードライバーが困窮し、自殺した例もあります。

アマゾンが扱う僧侶派遣サービス「お坊さん便」。日本には先祖代々のお墓が設置されている寺のことを菩提寺、それにかかわる家のことを檀家と呼んでいます。そして葬式などはその菩提寺に相談することになります。そのようなつながりを断ち切り、サービスとして扱うことに違和感のある全日本仏教会がアマゾンのサービスに反対しています。

また京都市に増えた民泊サービスAirB&B。周辺住民は急増する外国人観光客に対し、戸惑っています。

PART2:国家とGAFAの争い

GAFA糾弾の急先鋒である欧州委員会のベステアー委員。彼女は巨大化したGAFAはルールを決めるプラットフォーマーとなり、公正な競争を成り立たせなくさせており、結果として消費者の利益を損なうと主張しています。

実際に2018年にグーグルが基本ソフト「アンドロイド」関連のビジネスで自社サービスを不当に優遇したことがEU競争法違反に当たるとし、単独企業としては過去最大の43億4000万ユーロ(約5300億円)の制裁金の支払いを命じました。グーグルはアンドロイド端末に同社の検索ソフトを搭載することを求めており、競争相手を排除していると判断されました。

さらに彼女は課税逃れでもGAFAを追及しています。サービスが広がっている国で納税せずに税率の低い国で一括納税を行っていることは不公平と判断しました。結果16年にはアップルに不公平な税制優遇措置を与えているとして、アイルランド政府に同社への追徴課税を命じました。結果として143億ユーロ(約1兆7400億円)の追徴課税を実施。ルクセンブルク政府とアマゾンに対しても同様の指示を出しています。

プラットフォーマーへの課税の仕組みは国際的な課題であり、経済協力開発機構(OECD)は国内に物理的な拠点がなくても利益を計上していれば課税できる仕組みを検討しています。フランスは19年に独自のデジタル課税を導入し、アメリカとの貿易摩擦の種となっています。

GAFAのテクノロジーによって便利さを享受する一方で、豊かさは一向に感じられないことがGAFA帝国に対する反乱の種となっています。

ここまでの感想

私たちの日常に欠かせない存在だと思っていましたが、具体的な数値で認識するとえげつない存在だということがわかりました。もちろん一企業での力ではないですが、国家レベルの影響力や資金力を兼ねそろえていると考えると、なんとなく恐ろしく思ってしまいます。

日本の反対意見においては既存権益を守ろうとする声であり、保守的な考えだと感じました。タクシーにおいては捕まりづらかったり、料金が高いなどのサービス面の不満があるからこそ配車サービスが広がっています。お坊さん派遣についても、生死観が多様化する中で、過剰な部分はあると思います。「サービスではない」という主張も、受け手側からすれば戒名や49日など、過剰な面や過去のしきたりであるだけの部分は感じます。もちろん反対することは自由ですが、なぜそれを利用する人がいることを考えて、現代にあった形態に変化することを志向してほしいと思いました。

なお、民泊においては、地元住民の方に同情の余地はあるかなと思います。住む場所を変えることはなかなか難しいと思いますし、エアビーのサービスを使う提供者側も観光客のマナーなどは指導するべきであると考えました。

また自分ではよくわかってなかったアメリカとフランスの貿易戦争やデジタル関税について、整理できたことが良かったです。第一印象としては国も税金を取れるところから取りたいだろうけど、ルールを変える必要があるのかなと思いました。そこで得た税収が正しく国民のために使われるのかが疑問であること、そして税金で利益が圧縮されたとしてもGAFAなどのプラットフォーマーは最終的には利用者の我々からその分を回収するスキームを作るのではないでしょうか。サービスを受ける国民と、国と、企業の三者において、誰かがわがままを言えば、誰かが泣く。そんな構図になっているのではないかと寂しく思います。そのため、私は最初の国がとりっぱぐれていると主張することがどれほど正当なのかを深堀してみたいと思います。

ブログやSNSもある種デジタル空間の村だったり、そこでコミュニティができています。今後はそのコミュニティがもつパワーがさらに大きくなると思いますが、最終的には実態のある世界に回帰するような気がします。それがいつか見極めることと、デジタル空間と現実世界の両方をハイブリッドで生きることがこれからの未来では重要になると再認識しました。

最後に:おすすめの本紹介

本号には本紹介のコーナーがお休みだったため、私のおすすめの本を紹介します。

ビジネス書としては名著として有名な下記1冊を紹介します。

  • 稲盛和夫さん著『生き方』

京セラ・KDDIの創業者であり、JALを復活させた稀代の経営者です。稲盛さんの仕事だけではない人生への向き合い方やぶれない教えが分かりやすく書かれています。

何歳になっても繰り返し読みたい本の1つです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。