27歳からのどっこいしょブログ

会社員。ブログ歴3年目。現在30歳。国際結婚。長野県。読書感想や思ったことを記録していきます。

【読書感想】日経ビジネス『コロナエフェクト-ニューノーマル-』を読んで 1/2

日経ビジネス表紙「コロナエフェクト-ニューノーマル-」

2020/5/25発行分 日経ビジネス表紙

当記事にお越しいただき、ありがとうございます。

今回は2020年5月25日発行分の日経ビジネス『コロナエフェクト-ニューノーマル-』を読んだ感想をまとめます。

コロナウイルスの影響を受けてアメリカ、中国、ヨーロッパ、アジアはどうなっていくのか。現状と今後の予測が分かります。

尚、今回も情報の密度が高いため、2部構成でまとめさせていただきます。

今回はアメリカと中国の情報をまとめたのでぜひご覧ください!

 

目次

 

PART1:アメリカ編

現在5人に1人が失業する事態になっているアメリカ。1930年代の世界恐慌に匹敵する景気後退期が来る可能性があります。このコロナショックの影響でどのように変容していくか、見てみましょう。

①労働階級の貧困が進み、トランプ流が強まる

アメリカ 1週間当たりの失業保険申請件数推移

アメリカ 1週間当たりの失業保険申請件数推移

アメリカでは新型コロナウイルス追加経済対策として3兆ドル(約320兆円)の財政出動案を公表しました。第一弾としてすでに3兆ドルほどのけいざいさくを打ち出しているため、合計で6兆ドルをコロナ対策に使用する計算になります。またこれにより連邦政府のGDPにおける負債比率は1946年以降初の100%越えの予定になります。

そこまで国のお金を投入しているものの、経済の見通しは厳しいままです。上記グラフの通り、失業保険の申請者が爆発的に増えています。それにより導き出される結論は、低所得者のみならず中間層にも経済的打撃が及ぶ、「労働階級総貧困化」です。

その結果で得をするのがトランプ大統領です。トランプ大統領が進めてきた「アメリカ・ファースト」の考え方によるアメリカ国内の経済や雇用の保護が、貧困化した中間層の要望にマッチするからです。アメリカ経済に打撃を与えたとして、中国を非難しつつ、国内回帰を各企業に呼びかけ、雇用を生み出す、そのやり方がますます色濃くなるでしょう。

②環境ニューディール政策が進む

現在アメリカでは「極端な左」と呼ばれる環境活動団体が勢力を増しています。

なかでも「サンライズ・ムーブメント」という団体は10~20代の若者の活動家で構成されている団体です。選挙権をもつか持たないかの彼らの抗議スタイルは今風です。SNSやスマホを使って賛同者を集め、政治家たちにスマホを向けながら「グリーン・ニューディールに賛同する」よう発言を促します。そしてその動画をSNSで拡散させながらさらに影響力を高めていきます。

グリーン・ニューディールとは政府の財政や税制、投資の在り方を抜本的に改革し、再生エネルギーのインフラ構築を実現させる政策です。雇用を確保して国民を経済的に豊かにしつつ、健康保険など福利厚生も政府が保証します。

アフターコロナにおいては、1930年代に行った「ニューディール政策」を再び行うことは大いにあり得ます。当時も世界恐慌から抜け出すため、フランクリン・ルーズベルト大統領のもと公共事業を増やし、雇用を創出することで経済危機から立ち直ることができました。

今回も再生エネルギーのインフラ構築に政府の財源を投入し、雇用を生み出すことで経済的回復のみならず産業構造を環境配慮型に大きくシフトチェンジするいいタイミングになるかもしれません。

③対中闘争は一旦休戦

米中関係の落としどころ

米中関係の落としどころ

コロナウイルス前まではHOTな話題だった米中貿易戦争。しかしながら現在はコロナで荒れた国内のケアがアメリカには必要です。

今後の動きの予見となるような出来事が5/7にありました。アメリカはイラン対策で中東に配備していた軍を一部撤廃させることを決定します。表向きでは「米国の主要な競争相手」である中国やロシアへの警戒を強めるとしています。

しかし現状ではガチンコで対外的な争いを行うメリットは多くありません。アメリカの本音としても、世界の覇権を争うことよりもまずは目前の国内経済にカネと労力をかけたいところでしょう。

一方の中国。コロナエフェクトからは一足先に抜けた印象ですが、楽観できる状況ではありません。なぜなら、これまで「世界の工場」として発展してきましたが、世界の需要が低迷すれば、成長を維持することが困難だからです。

そこで米中闘争は一旦休戦のかたちをとり、互いにメリットのある状態で均衡が保たれるようになるでしょう。そしてアフターコロナの世界では米国につくか中国につくかの選択が、ほかの発展途上国で分かれることになります。

PART2:中国編

最初の発症者がでた中国。流行初期に情報を適切に公開せず、ウイルスの出現を警告し処罰を受けた医師が死亡した事実は重く、国民の不満は高まっていました。

しかしそこからはトップダウンの対応でクラスターを特定し、コロナウイルスの封じ込めに成功したと誇示しています。その中国で起きる変化を見てみましょう。

①移動履歴捕捉方法の進化

中国の健康コード

中国 健康コード

コロナ後の中国では商業施設への入館や移動の際に「健康コード」の提示が求められるようになりました。

「健康コード」とはスマホの画面上で表示するQRコードのことで、持ち主の新型コロナウイルスの感染リスクを示しています。健康コードは「緑」「黄」「赤」の3段階で色付けされており、「緑」は問題ないこと、「黄」はコロナ感染者との濃厚接触や入国直後などで隔離期間中であること、「赤」は感染者であることを示しています。

健康コードはどうやって色分けしているかというと中国政府のデータベースの情報を基に表示されています。中国では飛行機や高速鉄道、高速バスなどのチケットを購入する場合身分証の提示が義務付けられています。そのデータと感染者との農耕接触履歴、診断情報や地方政府のデータなどを照合してリスクを判断していると思われます。

今までも移動履歴は追跡できましたが、コロナウイルスの影響でその捕捉スピードが進化しています。ある意味で中国政府は国民を常時監視する有効なツールを手に入れたといえます。

②ハイテク投資急加速

中国の「新基建」の2020年投資規模予測

中国の「新基建」の2020年投資規模予測

コロナウイルスの影響により、例年3月に開催されていた全国人民代表大会(全人代、日本の国会にあたるもの)が延期されました。その全人代が5/22から開幕しています。

リーマンショックの際には4兆元(当時で約56兆円)の経済政策を繰り出し世界景気の回復に貢献した中国ですが、その当時の負の遺産として、使われないハコモノや鉄鋼の過剰供給、地方財政の悪化などが残りました。

今回のコロナエフェクトにおいては後遺症が残らない費用対効果が高い分野へ集中して経済対策が行われると予想されます。その際にキーワードとなるのが、「新基建」すなわち「新型インフラ」になります。その分野は下記の7つです。

  1. 5Gネットワーク
  2. 超高電圧網
  3. 新エネルギー車の充電ネットワーク
  4. ビックデータセンター
  5. 人工知能(AI)
  6. インダストリアル・インターネット(製造業とITを掛け合わせたもの)
  7. 都市間鉄道

中国銀行研究院によると2020年の「新基建」向けの投資額は約1兆2000億元(約18兆円)にのぼるとされています。

また中国におけるデジタル関連投資で外せないのが半導体です。国家戦略「中国製造2025」で中国政府は半導体自給率を20年に40%、25年に70%まで高める目標を掲げています。中国の半導体サプライチェーンが自給自足を達成するまでに不足している部分は多くあります。

そのうちの1つである半導体の「製造装置」。現在アメリカのアプライドマテリアルズと東京エレクトロンの2社が欠かせないメーカーとなっていますが、中国はその会社に匹敵する製造装置メーカーを育てようとしています。

中国向けスマホのSoCでは20年1~3月期の市場においてはじめて華為傘下のハイシリコンが米クアルコムを抑えて首位に立ちました。国を挙げたDXへの投資が中国の新常態となりそうです。

③テレワーク市場の世界シェアを狙う

コロナ以前にテレワークを実施している人は全体の1%以下でした。しかしコロナの影響によって中国においても一気に普及が進みます。中国民間調査機関のMob研究院は中国テレワークツール市場規模が「20年に約368億元(約5550億円)、24年には600億元(約9000億円)に達する」と予測しています。

その市場に目を付けたのが、中国IT大手のアリババ、テンセント、バイトダンスです。現在先頭を走るのはアリババのサービス「釘釘(DingTalk)」です。1月初めの1日当たりのサービス利用者は約2610万人ほどでしたが、2/21には1億5000万人と急増しました。

これまで中国IT大手は、中国独自の言論統制に守られる形で大きく成長してきました。しかしここでコロナエフェクトが全世界に波及し、テレワーク市場が広がる波にのり、アリババなどは日本やインドネシア、シンガポールなどに攻勢をかけています。中国勢のみならずあらゆる新興勢力がテレワーク市場を狙っている状況です。これによりアメリカ勢が圧倒的に強かった世界のソフト・サービス市場の勢力地図が変わり始めるかもしれません。

私の感想:

今回私が社会人になって初めての不況であり、不況の際の国の対応はどういう方向に行くのかが、本記事を通してわかりました。

具体的にいうと、国は経済対策として財源を投入し、これから推し進めていくべき産業にお金を集めます。そしてそこで雇用が生まれ、新たな付加価値が生まれ、景気が回復していきます。最も国が財源を投入するサービスは国民や世界の人々に求められているサービスです。しかしながら環境保護のように、好景気の中では手の回りにくいサービスやニーズに目を向ける良い機会になることが、本記事からわかりました。

また中国の健康コードについてですが、気になって妻に聞いてみました。しかしながら妻は「日本にいるため使わないからわからない」と一蹴されてしまいました。笑

国による個人情報の活用は非常に便利だと思います。今回マイナンバーカードを持っていたことで、給付金の申請がスムーズだったり、確定申告もスマホで済んだりしました。悪いことをしなければ不都合なことはないと思うので、日本においてももう少し行政手続きが電子上で簡単になればよいなと感じました。

日本でも緊急事態宣言が解かれ、だいぶ身の回りの警戒も弱まってきました。ただし世界的にはまだ終息にはむかっておらず、中東や中南米、アフリカでのコロナウイルス感染者が増加しています。(この辺の推移はグーグルの検索で非常にわかりやすくまとまっていますので、ぜひ見てみてください。)コロナの第一波を世界的に早く切り抜けた立場をうまく活用し、現在困っている国や人々に必要なサービスを届けたいと思いました。そして、コロナ後の世界の動きに注視し、自分の働いている企業や自分自身についてもどうあるべきか考えておこうと思います。

最後に今週の本紹介

日経ビジネスで紹介されている話題の本を私の備忘録として載せます。

気になる本があれば、感想をブログにアップする予定です!

皆さんも気になる本がありましたら、ぜひコメント欄で教えてください。

  • 『週末は、Niksen。』
  • 『私と過ごした1000人の殺人者たち』
  • 『モンテーニュ 人生を旅するための7章』

私と過ごした1000人の殺人者たち (宝島SUGOI文庫)

私と過ごした1000人の殺人者たち (宝島SUGOI文庫)

  • 作者:金原 龍一
  • 発売日: 2013/07/04
  • メディア: 文庫
 

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

次回の欧州編、アジア編もぜひお待ち下さい。