27歳からのどっこいしょブログ

会社員。ブログ歴3年目。現在30歳。国際結婚。長野県。読書感想や思ったことを記録していきます。

【読書感想】日経ビジネス『ダイナミックプライシング』を読んで

今回は3月18日発行の日経ビジネス『ダイナミックプライシング』の感想をまとめます。

 ■要旨:物事の需給やその他の要因に合わせて価格を変動させる行為をダイナミックプライシングという。アマゾンでは価格をAIで決めており、需給のバランスで価格を逐一変動させている。ダイナミックプライシングは商品の鮮度や季節性等の変化の場合は受け入れられるようだが、初来店の人やほかの属人的な指標は受け入れられないというアンケート結果になっている。江戸時代から一物一価(値札)制が日本で始まり大量消費の実現に一役買ったが、情報が高度になる現代において、今一度価格決めはあるべき姿に戻るのかもしれない。

 

■感想:よく飛行機の値段が旅行シーズンだと高くなることなどで感じてはいたが、それが「ダイナミックプライシング」という名前で現在各所で出現していることがわかった。

アダムスミスの「神の見えざる手」の原理と同様需要が高いものは値段を高くし、反対に鮮度が落ちたり人気のないものは値段が下がることは、理にかなっていると感じる。

 

しかしそれが実現できるようになった背景として、人々の指向をデータとして置き換え、かつそれを超速で計算しリアルタイムで反映できるようになったAIの存在が大きいと感じた。また現実世界では値札を変えること自体に労力がかかるが、ネット販売や電子棚の場合はデータを変更するだけでよいため、販売者側のメリットは大きいと思う。

 

また本書の中にはなかったが、電力料金自由化などで、需要の少ない昼間や深夜帯の電力が安くなることもダイナミックプライシングといえるだろう。

ただしダイナミックプライシングが適用できるのは供給がある程度限られている(つまり需要の高まりに供給が比例しない)ことが原則であって、需要の分だけ供給を増やすようなビジネスが可能な分野には取り入れることができない。つまり供給を限定するか、爆発的な需要を作り出すといったような、売り手市場の状態をいかに作るかが重要なんだと考えさせられた。