今回は6月24日発行分の日経ビジネス『新規事業という病』の感想をまとめます。
■要旨:
会社を成長させるための手段として新規事業をたちあげるのだが、新規事業の立ち上げそのものが目的になってしまう例も多い。新規事業が目的化した会社の行動は、流行に手を出す、シナジー効果を過剰評価する、過去を安易に否定する、という3パターンに分類される。新規事業を起こす際は、専門部隊を起こし、権限を与えたうえで既存領域を壊すほどの覚悟でやらなければならない。
■感想:
新規事業が手段から目的に変わってしまう例は、どの会社でも比較的起こりえると思いました。新規事業のみならず、新製品や新サービスにおいても、会社の利益向上という目的で当初スタートしたが、そのローンチが目的になってしまっていると感じることもあります。
手段から目的に変わる一番の理由はマネジメントの評価指標が正しくないことによると思います。立ち上げをおこなえばある程度評価される状況では、それ自体がゴールになってしまうことは自然の流れでしょう。マネジメントは社会変化のスピードが上がっているという状況において、タイムリーに立ち上げをおこなうことが最低条件だと考えていると思います。たしかにタイミングを逸しては何事もうまくはいきませんが、立ち上げるにふさわしい中身が伴っているかどうかの確認を怠ってはいけません。変化の速い世の中だからこそ、マネジメント層には目的に対する柔軟な計画変更を行い、キャッチアップする能力が必要だと考えました。適切にキャッチアップ計画をつくるためには、なぜうまくいかなかったかの要因分析を正しく行い、今後の歯止めを講じる能力も重要だと思いました。
新規事業を考える際に、流行から発想を得る(サブスクリプション、シェアリングエコノミーなど)、既存事業とのシナジーを図る、それ自体は正しい進め方です。しかしそのうえで楽観的に考えすぎていないか、自分の都合のよいデータ/側面だけで見ていないか、マーケットインの発想で考えられているかという基本に立ち返るべきです。本誌ではスーツのAOKIのサブスクやライザップのM&Aが失敗の実例として挙げられています。成長への焦りが判断を間違えさせた例だと感じました。
また本誌の中で「累積的優位性」という考えを学べたことがよかったです。簡単にいうと「変わらない良さ」ということで、過去の信頼の積み重ねにより顧客の支持を得て、それにより顧客から支持をされているという内容でした。停滞した市場に変化を起こしたくなる気持ちはわかりますが、変化しないことでのメリットや利益も天秤にかけたうえでの行動が必要だと再認識しました。
最後に本の紹介です。今回はサブスクリプションに関する書籍が紹介されていました。
「つながり」の創りかた 新時代の収益化戦略 リカーリングモデル [ 川上 昌直 ]
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サブスクリプション 「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル [ ティエン・ツォ ]
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サブスクリプション・マーケティング モノが売れない時代の顧客との関わり方 [ アン・H・ジャンザー ]
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