今回は5月27日号発行の日経ビジネス『欧州リストラの極意』の感想をまとめます。
■要旨:
営業利益率や時価総額でヨーロッパの名門企業に差をつけられている日本企業。人員削減だけではなく、真の意味でのリストラを巧みに使い成長したPHILIPS、SIEMENS、Nestle、BASEを例に、リストラには①長期シナリオの作成②撤退、売却③育成・買収の3ステップがあることを整理した。強い欧州企業は大局観のあるトップ直属チームがあり、5年ていどの中期実績で経営を評価し、多様な知見や価値観を取り入れる風土がある。
■感想:
リストラやM&Aのニュース自体にあまり関心を持っていませんでしたが、今回の記事を読んで、M&Aに非常に興味がわきました。
リストラとは文字通り、「再構築」という意味ですが、今回の記事のPHILIPSの例のような大転換は日本ではあまり起きていないように思いました。(最も私が意識していないだけかもしれません)
PHILIPSは総合家電メーカーからヘルスケア企業に変化しました。2011年にテレビ事業を売却し、音響事業や世界シェアトップの昭明事業も売却を行っています。将来を見据え、コモディティ化が進む事業を売却し、そのキャッシュで将来の成長分野に集中投資する、きわめて合理的な経営だと思います。ただしこの後のヘルスケア部門、主にデータ診断事業を収益化することが最も重要かつ困難なことであるため、今後PHILIPSがどうやり遂げるか、その力の根源はなにかを引き続き勉強したいと思います。
また組織の違いという点で、SIMENSの長期シナリオの作成方法のすばらしさと、BASEの売却専門チームの保持の2点が印象に残りました。
私の会社でも目がトレンドからくる長期シナリオはありますが、それは文字情報として共有されています。しかしSIMENSはそれを一枚の絵にまで落とし込み、将来どのような生活、社会を作るのかを共有していると書いてありました。絵にすることで、具体的なゴールやアウトプットが明確になり、その共有も容易になっていると思います。具体的なゴールにまで落とし込む、そのあと一歩が足りていない、もしくは浸透しきれていないことが日本企業の弱みであるように感じました。
またBASEはM&A専属チームが会社にいるため、売却時の判断がぶれず、準備もぬかりなくすすめることができているとわかりました。経営のスピードをあげるため、M&Aは有効な手段として今後も存在します。それに特化した組織を持つことは、これから成長する企業の必須条件だと思いました。
最後に本の紹介です。今回は人材についての本でした。
京大変人講座 常識を飛び越えると、何かが見えてくる (単行本) [ 酒井 敏 ]
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