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今回は小倉昌男さん著『経営学』の感想をまとめます。
小倉昌男さんはヤマト運輸の2代目社長で、宅急便サービスを生み出した経営者です。以前『祈りと経営』という別のノンフィクション本を読んだことがきっかけで、小倉昌男さんに興味を持ちました。
いかにして宅急便という新規サービスをつくったか、経営者に必要なものがなにかが分かる本です。ぜひご覧ください。
目次:
本の概要
本書はヤマト運輸の2代目社長小倉昌男さんの自伝になります。1995年に会長を退いて4年後の1999年に初の自伝となる本書を書き下ろしました。主に宅急便ができるまでの取り組みについてどのような考えのもと実行してきたかが分かる内容になります。構成は下記のとおり3部構成全15章です。
第一部 牛丼とマンハッタンー宅急便前史
第一章 宅急便前史
第二章 私の学習時代
第三章 市場の転換ー商業貨物から個人宅配へ
第四章 個人宅配市場へのアプローチ
第二部 サービスは市場を創造するー宅急便の経営学
第五章 宅急便の開発
第六章 サービスの差別化
第七章 サービスとコストの問題
第八章 ダントツ三ヵ年計画、そして行政との闘い
第九章 全員経営
第十章 労働組合を経営に生かす
第十一章 業態化
第十二章 新商品の開発
第十三章 財務体質の強化
第三部 私の経営哲学
第十四章 組織の活性化
第十五章 経営リーダー10の条件
経営者として具体的な事例や普遍的なことまですべて記載されています。そのため、また年を重ねたころにもう一度読みたいと思える本でした。
宅急便ができるまで
ヤマト運輸はもともと物量が多い企業案件の配送サービスが主となっていました。そんな中、大口顧客に振り回されているだけでは今後の成長は望めないと小倉さんは考えました。
そのきっかけとなったことが、大口顧客の三越からの不条理な要求があったことでした。三越が1974年に業績悪化を理由にヤマト運輸の配送料金の引き下げや駐車料金等の徴収を要求してきました。50年来のお取引先であるため了承したものの、業績が改善したあとも誠意のある対応はしてもらえませんでした。
そこでアメリカ市場を視察した際にUPSが個人宅配サービスを行っていることに気が付きます。当時日本では個人向けの配送サービスは郵便局のみでした。ほかの運送業者も個人向けは集荷や配送などで効率が極めて悪いため、儲けにならないと思われていました。そんな固定概念に対し、小倉さんは論理的思考で臨みます。アメリカでは個人向けサービスができているのに日本で行われないことはおかしいとの気づきを得て、現状できていない理由と、その改善点を考えました。
その結果「サービスが先、利益が後」という考え方がでました。まず集配効率が低い点につちては、酒屋などの取次店を増やすことで対応することを決めました。また、郵便との差別化のため、「翌日配送」を掲げます。またそのサービスを実現するために車両は1営業所最低5台と決めました。5台とは東西南北+中央ということで5台にしました。また営業所の数も交番の数を目安にまずは増やすという明確なゴールを提示しました。
つづいて値段については、複雑な料金体系にせず1口あたりいくらという決め方にしました。しかし運輸局がその価格テーブルをなかなか認可してくれません。そこで小倉さんは新聞広告に運輸局の批判ともとれる広告を打ちました。その結果、認可が下りることに成功しました。
新しいサービスを作るうえでいかにロジックで積み上げることが大切か、出てきた課題1つ1つにじっくりと対応する必要があるかを追体験できる素晴らしい内容でした。
経営者に必要な能力
小倉さんは経営者には「論理的思考」と「高い倫理観」が不可欠だと考えています。そんな経営リーダーに求められる資質を10個挙げているので紹介します。
- 論理的思考
- 時代の風を読む
- 戦略的思考
- 攻めの経営
- 行政に頼らぬ自立の精神
- 政治家に頼るな、自助努力あるのみ
- マスコミとの良い関係
- 明るい性格
- 身銭を切ること
- 高い倫理観
とりわけ4~7の項目は、宅急便の新サービスを出すうえでの小倉さんの苦労から出てきた内容であることがうかがえます。またこの10項目はすべての人が意識すべき内容だと思いました。会社の経営はしていなくても、もっと小さな課やチーム、もしくは家庭や町内会といった場所で経営者のような振る舞いが必要な場面は誰にでもあります。自分の信条のベースとして、この10項目は覚えておきたいです。
感想
小倉さんの信条通り、とにかく論理的思考に優れた方であることが本書を通してよく理解できました。経営者には説明責任があるため、その決断プロセスや理由を常に言語化できなければなりません。その理由が多少のこじつけであったとしても、妥当性があるように説明する能力は、私自身も身につけなければならないと学びがありました。30歳になり、これから自分で判断し、そのことに周囲を巻き込むことが多くなります。その時にしっかりと説明責任を果たし、周囲の人から信頼される仕事を積み重ねていきたいです。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう。